第6話とある先輩②

「先輩……ありがとうございました。」とお礼を言った。


「いえいえ〜!またなんかあったら言ってねー。」



頼もしい先輩だなぁと思いつつ、「はい」と返事をする。



そう言ったところでお互いの帰る路地に着いたので、別れた。



今日はいい日だったなぁ。と思いながら、僕は帰って行った。





「……ただいま」


「おかえりなさい」と、にこりと笑いながら、話す母がいた。


「……今日ね、いい事あったんだよ!」と話すが、母は「そう。」と興味が無いかのような返事をする。


あ……これは話さない方いいやつだ。と感じ取り、僕はそそくさと自分の部屋に向かった。



「……なんで家は苦しいんだ。」ぽつりと呟いてから、先輩に言われた事を思い出した。



「困難とか多いのはヒーローになれるから。」



ブンブンと首を振り、僕は、「ヒーロー」と独り言のように、呟く。


まだ大丈夫。そう自分に言い聞かせた。



僕は気が付きもしなかった。



自分が窮地に追い込まれている事に……

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