第5話とある先輩①

逢「…ごめん。1人になりたくない理由が分からない。」


どうしても理解が出来なかった僕は、彼女に聞いた。


瑠衣「…どうして分からないの?」と、不思議そうな顔をする。



どうして…どうして?


僕が答えられずにいると、瑠衣は短く、そっかと、答えただけだった。


逢「…ごめん」


頭の中でグルグルと、どうして分からないんだろうという考えが回る。



瑠衣「いいや。」と言うと、教室を出ていってしまった。



あ……また、やってしまった…


冷や汗が止まらない。



どうして僕は……分からないんだろう???

なんで「普通」じゃないんだ……


ぐるぐるとそんな考えばかり浮かぶ。


すると、プツリと目の前が暗くなった。




逢「………え?」


目覚めるとそこは、保健室だった。



なんで…?そっか…僕倒れたんだ。え?でも…誰が運んだんだ?などと、考えていると、とある人の声が聞こえた。


???「目覚めた?」


あ…けいさんだ…


逢「はい……でもどうして?」と聞くと、たまたま教室の前通ったら倒れてたから、運んだ。と話す。


逢「…ありがとう。」とお礼を言う。


敬さんは、お前最近変だぞ。どうした?と聞いてきた。


逢「…えっと、友達と上手くいかなくて、それに、病院で、発達障がいって言われて来て、どうしたらいいのか分からなくなっちゃいました。」




やっと言えた……やっと人に言えた。



僕がホッとしていると、先輩は、驚く事を言い出した。


「え?凄くね?」


え?すごい?何がだ?

「凄い?どうしてそう思うんですか?」


「うん。だって人とは違う人生歩めるんだよ!?かっこいいし羨ましいじゃん!!」


目をキラキラさせて、先輩は話した。



は……………かっこいい?羨ましい?


僕が???


ポタポタと暖かいものが肌に触れた。


「……え?」


どうやら、泣いていたようだ。


「!?え!?俺悪いこと言っちゃった!?」



言葉が出てこず、ふるふると横に首を振る。


「……違くて、嬉しいんです。今まで、かっこいい、羨ましいなんて言ってくれた人なんて誰も居なかったから」


「そっか……頑張ったな。」と暖かい言葉ばかりかけてくれた。


「それともうひとつ。困難とか苦労とか多いだろ?だからそうなったら、ヒーローだって思えばいい。ヒーローも同じで、苦労とか多いだろ?だからそうなったら、ヒーローになれる!?って思っておけばいい」


その言葉を聞いた途端、我慢してたものが溢れた。


「……!あ……ありがとうございます」

ポロポロ涙が止まらなくなった。


この人に、救われた。と思いながら、僕は、体調が良くなったので、帰ることにしたのだった。

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