第15話 ゲーマーとピエロ
それからボクは時間を忘れて、『大乱戦☆スカッとブラジャーズ』に熱中した。
「くそっ、嫌な攻撃してくるな」
最初こそはゲーム内におけるランクが上がっていたが、あるラインから、上に行く事ができなくなった。
「チッ、負けた!」
敗北を重ねる程、『次はどうやったら勝てるか?』とボクはのめり込み、一歩間違えれば成人指定なこのゲームをボクは必死になってやり込んでいた。
「うおおお! しゃあ!!」
そして立派な廃人ゲーマーが誕生しましたとさ。
「
「でも最近
新婚旅行に行け無かった両親は、姉が大学に入ったのを期にハネムーン(新婚ではないが)と行きたいそうだ。
「大丈夫だよ、お母さん。私たちに遠慮しないで楽しんできて」
気付けば、両親が世界旅行に行っていた。両親が3カ国目に行った時にやっと気付いたのは自分でもどうかしてると思う。
「翔ちゃん、学校行かないの?」
「ごめん! やりたいことある!!」
「なら仕方無いね!!」
私に甘々な姉さんは、ボクの楽しそうな様子にニコニコしてくれた。
「今日こそは……」
そう言ってコントローラーを握る日々。ボクは必死に夢中になって、季節を駆け抜けた。
「あれ?」
エスカレーターで上がれる高校には出席日数が足りず、進学できなかった。しかし、県立高校にノー勉で合格。
「ふぅ、危なかった」
晴れてボクは高校生になった。
この時になると『大乱戦☆スカッとブラジャーズ』への熱も一時的に冷め、少しの間だけどちゃんと学校にも行っていた。
なのに、ある日。
「まっ、マジか!?」
『大乱戦☆スカッとブラジャーズ』の大型アップデート、そして
「ヤルしかねぇ……」
廃人ゲーマー、復活。
そしてボクは、また学校に行かなくなった。
しかし、どうだろうか。
いざゲームを始めてみると、以前の様に熱中できない。
「…………」
だって試合に勝てるようになってしまったから。
「……つまんね」
学校に行かなくなって一週間と数日後のある日。見覚えのある制服を着た学生が、ボクの家のインターホンを鳴らす。
「こんにちわ」
真面目そうな落ち着いた声。
「あら、翔ちゃんの学校の……」
姉さんが対応してくれているのを、二階の部屋で聞き耳を立てていた。
「はい。
「あら、セクハラ?」
「ほっんと、こんな名前ですみませんねぇ!!」
姉の天然に、名前を侮辱される男。
どうせ、担任にボクを学校に連れてくるよう言われたクラス委員か何かだろう。
「
「そ~ね~」
姉の不自然な間から、私の事を心配してくれている事が分かる。スマホを取り出し、『別に部屋の前までならいいよ』とメッセージを送る。
「部屋の前でならって」
「構いません」
部屋の扉周辺が映るように、無線接続できるカメラを設置。無いとは思うが、引きこもりを強引に外に出すテレビ番組を前日に見てしまったので一応仕掛けていた。
階段を上がってくる音がして、急いで部屋に隠れる。
「こんにちわ、
気持ち悪い程に不自然な笑みを貼り付けて、どこを見ているのか分からない少年がいた。
これがボクと与太郎の出会い。
映像越しにも分かるほどの狂気を孕んだ彼の姿を、
「き、キモい……」
何も知らないボクは、
下ネタピエロは笑わせたい!!~ド下ネタヒロインズとコメディ全振りな日々~ 春菊 甘藍 @Yasaino21sann
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。下ネタピエロは笑わせたい!!~ド下ネタヒロインズとコメディ全振りな日々~の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます