MBロリっ娘とイチャラブしたい!

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第1話

「ねーねー、お兄さーん」


 突然、見知らぬロリっ娘に声をかけられた。

 ロリっ娘はクリクリとした丸い瞳を上目遣いで向けてくる。


 お兄さんっていうのは、俺のことらしい。


 動揺して言葉が出ない俺のことを気にも留めず、ロリっ娘は言葉を発する。


「お兄さんさ。甘いの、持ってるでしょー」


 ロリっ娘は、俺が手に提げているエコバックの中身を指し示しながら言った。

 たしかに、コンビニ帰りの手提げ袋の中には、ショートケーキが1つ入っている。せっかくの休日、気分転換目的で購入したケーキだ。

 

 気付くと、ロリっ娘の目線はショートケーキにロックオンされていた。


「甘いのくれたら、わたしなんでもするよー?」


 俺が甘いのあげたら、この子がなんでもしてくれるらしい。

 ロリっ娘は、クリクリした可愛らしいお目々をまた上目遣いにして見つめてくる。

 幼い頃飼っていた小型犬を思い出す、純粋すぎる可愛さがそこにあった。


 いや、いやいや。あまりの可愛らしさに魅了されていたが、俺もなにか反応しないとマズイ。

 この光景、一歩間違えれば事案だ。


「き、君。お父さんや、お母さんはいないのかな?」


 コミュ障にとって、子供相手の会話というのは難易度高めの部類だと思うのだが、世のコミュ障一同から共感を得られるだろうか。

 

 俺は腋汗ダラダラになりながらも、どこかで聞いたことがあるようなセリフをドモりながら絞り出したのだった。


「んんー? いないよー?」


 良かった。会話が成立してる。

 ……って、保護者がいないのか。家は近所なのだろうか。もしかすると迷子なのか――?


「ね、お兄さん、それより甘いの」

 

 話を逸らされたのにムカついたのかな。

 不機嫌そうな声色で、ゲシゲシと俺の足を蹴りつけ始めるロリっ娘。

 足癖悪いな、この子。


 ってか普通に痛い。これ絶対痣になってるやつだ。


「ちょっ、やめ、やめて」


 ロリっ娘は、ジッと眼差しを向けながら、こちらの脛を蹴りつけてくる。

 一連のやりとりで舐められてしまったのだろう。初対面のロリにすら値踏みされ、すっかり格下扱いされてしまった自らの腑抜けっぷりを痛く実感した。

 

 さらに増長される前に、用事ができたフリでもして逃げてしまおう。そんな茶番を実行に移そうとしていると、ロリっ娘が蹴りをやめ、またあのクリクリした瞳でこちらを見つめた。


「甘いのくれたら、オマンコできるよー?」


「は?」


 は?

 ……いまオマンコって言った?


 冷汗が止まらない。

 このロリ、俺を逮捕させるために現れたのではないだろうか。


「い、急いでますのでっ!」

「あっ、オマンコー!」


 俺はその場を逃げ出し、自分の住まうアパートまで疾走した。




 ────────────────────────―― 


「っはぁ……っはぁ……」


 充分に遠回りした後、無事に玄関先まで辿り着いた。


 こんなに全速力で走ったのなんて、いつぶりだろう。

 すっかり上がりきった息と、悲鳴を上げる肉体各部をいたわる。


 一週間に一度くらいは、こうやって息の上がる運動をしないと早死にのリスクが高まるそうだ。

 

 そう思うと、あのオマンコ幼女にも少し感謝するべきかもしれないな。


「お兄さん、オマンコはー?」


「んわぁぁぁぁぁぁ!!!」


 腰を抜かした。

 またあのロリっ娘が出てきた。恐らく、ずっと俺の後をぴったりつけて走ってきたんだろう。

 

 子供の体力半端ねぇ。

 微塵も息を切らしていないロリっ娘に、俺は敗北を悟った。

 もうショートケーキを渡して、お引き取り願うことにしよう。


「ロリっ娘ちゃん、はあはあ……」


「……オマンコするー?」


「はあはあっ、ショートケーキあげるから、はあっはあっ……」


 だめだ。

 想定していたよりも息が上がっていて、会話すらままならない。


「おっけー! えへへ、甘いのもらう代わりに、オマンコしてあげるからねー」


「はあ、はあはあ……!」


「そんなに息荒くしないでも、オマンコは逃げないよー?」


 だめだ。幼女ちゃん。

 その誤解はだめだ。


「お兄さんの部屋ってココなのー?」


「はあはあはあ……!」


 今さっき部屋の鍵は開けてしまった。

 つまり、ロリっ娘がドアノブを回せば、俺の部屋にロリっ娘ちゃんが入室できてしまう。

 

 だめだ。

 幼女を自室に連れ込んだ男なんて、一発で事案になる。

 

 うう、ロリっ娘ちゃん、だめなのにぃー!


「あ、開いた。お兄さん、はいるねー」


「はぁっ、はぁっ……」


 ロリっ娘に襟をつかまれ、ズリズリと床に引きずらされながら、俺とロリっ娘はアパートの一室へと飲み込まれた。




 ────────────────────────―― 


 ロリっ娘ちゃんは美少女だ。


 茶髪と水色の瞳に、床を引きずる長さの無造作なロングヘアーが特徴的。


 あと、なんかボロ切れみたいな服着てるのが気になる。どこのゴミ箱から拾ってきたんだろう。

 ちょっと臭いし。


 ぱっと見、年齢は12歳前後に見える。

 俺は断じてロリコンじゃないから、見立ては正確ではないはずだ。


 なんにせよ、世間一般に蔓延る女子小学生のイメージとはかけ離れた姿ではある。

 これが今ドキの流行り……ってやつなのかな。


「えと、君、学校とか行ってるの?」


「んぐ? ガッコオってなにー?」


 ほっぺたに白いクリームをくっつけた顔を見せつけて答えるロリっ娘。

 

 さっき家に上がりこんだロリっ娘は、今まさにショートケーキを食べ始めたところだ。

 その心底幸せそうな笑顔を眺めていると、思わず和んでしまう。

 

 ちびりちびりと、もったいぶるように味わうロリ。

 さっさと食べ終えて帰ってほしいのだが。


「……お兄さんも食べる?」


「……!?」


 思いもよらぬ提案を受け、少しドキッとしてしまう。なんて心優しいロリっ娘なのだろうか。

 はぎゅーっと抱きしめたくなる欲望がドクドクと沸き起こる。


「じゃあ、少しだけ……」


「いいよー。こっちきてー」


 ケーキを一緒に食べるぐらい普通のことだ。大前提として、このケーキは俺が買ってきたものだし。

 なんて、自分に言い聞かせる。


 俺は、ロリっ娘に促された通り、ケーキが載せられた小さなちゃぶ台に身を寄せる。


「……」


「……」

 

 対面にはロリっ娘の整ったお顔。

 ケーキを挟んで見つめあっている。


 こんなに見つめあっていていいのだろうか。

 人と目線を合わせるってことが、これほど幸福感の得られる行為だったなんて、今までの人生で知る由もなかった。


「……」


「……」


 静寂が場を包む。

 エレベーターの中のような気まずい静寂じゃなくて、とても温かく心地よい静寂だった。


「……食べよー?」


「……」


 俺はコクリと頷いて返した。


「フォーク、1本しかないねー」


「ごめん、すぐ持って――」


 俺が腰を浮かそうとしたその直後、ロリっ娘は手に持っていたフォークを部屋の隅っこ目がけて放り投げた。

 フォークはカチャンと荒々しい金属音を立てて沈黙した。


「フォーク、いーらない」


「……??」


 ロリっ娘の行動は意味不明だった。

 マジで奇天烈で意味不明だ。


「直接口で食べよー?」


「あ、まじか」


 そう言って、ケーキの側面をぺろぺろと舐め始めるロリっ娘。

 俺はつい、「あ、まじか」なんて気の乗らない返事をしてしまったわけだが。

 こういうとき、ノリの良いクラスの陽キャグループだったら、どうしていただろう。

 迷うことなく提案に乗っかっていただろう。そういうノリの良さこそが、幅広い人間関係を構築し、人生を明るい方向へと導くんじゃないか?

 

 そうだよ。大切なことは、目の前の相手を楽しませることだったんだ。

 

 迷いを乗り越えた俺は、ロリっ娘の真似をしてケーキをペロペロする。


「……ぺろぺろ」


「……ぺろぺろ」


 ふたりの舐める水音のみが一室に響く。


 三角形に切られたショートケーキの切り口を二人でぺろぺろ。

 途中、埋めこまれていたイチゴの切れ端も丸のみにして、ただ無心でぺろぺろした。 


 この状況を知らない人が見たら、ひどく俺を軽蔑するかもしれない。みんなきっと呆れるはずだ。

 でも、いいんだ。


「……あ」


「……ッ」


 壁が貫通し、二人の粘膜が接触した。

 ねばっこくて、あったかくて、ザラザラで、くさくて、うごいてる。


 これ、幸せだなあ。


 二人はそのままぺろぺろし続け合った。


 

 ────────────────────────―― 

 

「本当にオマンコはいいのー?」


「ああ。今日はありがとう」


「じゃあ、お礼はー?」


「お礼なんていいよ。むしろこっちがお礼したい側なのに」


「だめー。約束ちがうだろー」


 俺は少し頭を悩ませたが、ロリっ娘が纏うボロボロの衣服に目が行った。 


「あーそれじゃあ、お礼にちょっとイメチェンしてもらえるかな?」

 

「いめちぇーん?」



 ────────────────────────―― 


 数時間後、スラム街にいてもおかしくないような美少女ロリが、清潔感あるマイクロビキニツインテールロリに変貌していた。


「おおー? おー? なんかスッキリしたー」


「そうだろう、そうだろう」


 全身にこびりついていた垢のようなものを一掃し、長い髪を適当なヒモで束ね、昔買ったアニメグッズの特典についてきたマイクロビキニを装着してもらった。


 俺の部屋には小さな女の子が着る衣装などあるわけもなく、やむを得ずマイクロビキニを提案したところ、二つ返事で着こなしてくれた。

 めっちゃいい子だ。


「お兄さん、ありがとー」


「こちらこそ、ありがとう」


 玄関先でイメチェンしたロリっ娘を見送る。

 幼女特有のなめやかな肌が、眩しい夕日に照らされていて、それはそれはうつくしい光景だった。


 バタンと乾いた重々しい音を立てて、閉ざされる扉。

 

 あの光景が名残惜しくなって、もう一度玄関扉を開けるも、そこに求めていた人物の姿はもう見当たらなかった。


 そこには二本の靴紐と、マイクロビキニだけが落ちていた。


「……バイバイ」


 不思議とわかる。あの子は幽霊や妄想のようなものだったのだろう。


 きっと、もう二度と会うことはない。その事実だけは直観で理解していた。


「……バイバイ」


 夕暮れの中、気付くと目頭に大粒の涙が溢れていた。

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