どう読んだか


 まず、一番最初に「約束事」を決めることにした。

 その時点では未読の段階であったが……購入するまでの間に色々な逡巡しゅんじゅんがあったので、読む際にも悔いを残さないように最大限配慮することにした。


 それは以下の 3点である。


1.「聲の形」を「2ヶ月」(およそ8週間)かけて読む。

→「聲の形」は全7巻だったので、各巻を1週間ずつかけて読み、最後に「おさらい」として 1日1巻のペースで読んでいけば、ちょうど 8週間で完遂出来る見通しだった。

 1巻ごとの読書期間については、「3日」「2週間」「1ヶ月」といった候補もあったが、間延びせず、しっかりと考察が出来る期間(不測の出来事があっても)を設けたかったので「1週間」とした。


2.ある巻を読んでいる間は、別の巻を読まないようにする。

→ 1巻の次の週は、2巻になる。巻が進んでも、過去の巻を読まないようにした。その巻だけに集中する。いくら気になったって、過ぎ去った時が戻ってくることなんてない。それと同じことだと思った。

 まあ、流石に答え合わせが出来ないのも嫌だったので、おさらいとして1日だけ読める機会を設けた。


3.ネタバレ/考察サイトをはじめ、内容に関わる情報の一切に触れない。

→これは特に固く取り決めていた。ネタバレ/考察サイトについて、その便利さは痛いほどよく分かっているのだが、それ故に、強く警戒していた。見てしまったらもう元に戻れない・・・・・・・・のだ。

 キャラクターの本心やら、物語の真実やらに関心はなかった。解説サイト・動画なんて探せば山ほどある。そもそも公式でガイドが出ているくらいだ。

 そんな「模範解答」にはまったく興味がなかった。不正解でも全然よかった。



 これら約束事に従って読み始めた。


 1週間で 1巻のペースといったが、1日ごとに寝る前の 1~2時間(大半は2時間だった)を使っている。

 ページ数や文量が多いわけでないので、1周するのに時間はかからない。何周かした後は、音読してみたり、各コマごとに眺めてみたり、各話ごとに個人的な分析を入れたりした。

 何回も何回も読み返した。コマの大小を問わず、キャラクターの心情や表情、背景を推測していった。楽しかった。キャラクターとは異なり「作者」の意図や伝えたいことを考えることはしなかった。先述した通り、正解・不正解に興味はなかったし、そんな楽しみ方をする作品とも思えなかった。


 また、出勤中をはじめ、寝起き、風呂、トイレの時でも、頭の中に浮かんできたことがあれば、すべてメモアプリに収めた。

 登場人物が増えてきたら、各キャラクターごとのマトリクス図を作って、互いにどう思っているか、各巻ごとの心境の変化だったりをまとめたりもした。

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