第4話

 瀬良は石工先祖の碑って石碑を眺めていた。

 鎌倉時代に石材業を始めた土屋格衛や江戸城を築くために採石に当たった黒田長政支配下の業績をたたえ、江戸時代末期に再建されたものである。真鶴町指定文化財。

 瀬良は横須賀にある食品工場の社長だ。

 ハムやウィンナーを製造している。

 

 瀬良は、麻薬欲しさに仲間と店を襲撃した際、警官らと銃撃戦になり警官1人を撃ち殺してしまった過去がある。その結果、死刑を宣告される。しかし処刑を目前にした彼に、政府から2つの選択肢が提示される。1つは死刑、もう1つは政府内の機密工作員として働くことだった。仕方なく瀬良は厳しい訓練を受け、優秀な機密工作員として任務を果たしていくことになる。ところが、非情な殺し屋稼業に徹し切れず食品工場で働き始め、ボスにまでのし上がったのだ。


 上杉栄太は優秀な警官だった。橋本は栄太と幼い頃、キャッチボールや鬼ごっこして遊んだ。

 

 橋本は黒田長政供養の碑という真鶴町の西念寺にある供養碑にやってきた。

 黒田長政より江戸城の用石発掘の命を受けた福岡藩士小河織部正良は、岩小松山に良質の石材(本小松石)を発見し石丁場を開いた。黒田長政13回忌にあたり、小河織部正良は供養の石塔を建てたといわれ、礎石部分は当時のものと伝えられている。

 

 橋本はその次に海と森に囲まれた「お林展望公園」にやってきた。パークゴルフ場、バーベキュー場が整備されており、自然を感じながら楽しむことができる。管理棟2階には中川一政のアトリエを生前のままに復元公開している。 「お林展望公園」の先端には広場があり、伊豆半島や湘南の海、また初島や大島も見渡せる。かつては真鶴サボテンランドとして営業していたが、現在は町営の公園である。

 

 橋本はベンチに座っている人を見て、おっ!と思った。

「おやおや、横井さん」

「あれ、橋本さんじゃないですか?」

 橋本は横井が阿部サダヲに似てると思った。

 横井は橋本のことを伊藤淳史に似てるなと思った。

「横井さんは何をされているんですか?」

「海を眺めてます。昔、大島に行きました」

「じゃなくて仕事」

「派遣会社でコーディネーターをしています。橋本さんは?」

「私は弁護士をしています」

 それじゃあと、橋本は公園を出て真鶴駅に向かった。

 島式ホーム1面2線を有する地上駅。上下本線のほか、ホームのない待避線が上下とも1線ずつある。


 駅舎とホームは地下通路で連絡している。


 直営駅で、根府川駅を管理している。Suica対応自動改札機・指定席券売機・みどりの窓口設置駅。

 昔は駅弁が売っていた。 

 小鯵押寿司、鯛めし、おたのしみ弁当などだが、あのときは鯛めしを食べた。

 Suicaを使って改札を抜けようとしたら雷獣が現れた。

「ココカラサキニイッテハナラナイ」

 橋本は引き返すことにした。

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