6.普通の学校

 

ー9月2日ー


 蒸し蒸しとした暑い夏の日

 俺は勢いよくベットから飛び出した。


 「なんだ夢か…」

 そう考え俺は少し黙り込んで思った。

 「そうだ、あいつはもう居ないんだった…」

 さっきのは現実じゃなかったのか。

 それにしても、奇妙な夢だったな...

また、あの言葉を聞いたし...


俺はそう思いながら、朝食に食パンだけを食べ学校へと向かった。

俺は通学途中ある異変に気がついた。


(いつもだったらもう塩尻とあっているはず…今日は休むつもりなのかな?)

塩尻が休むことは滅多にない事だ。

恐らく、あの事で塞ぎ込んでしまっているのだろう。

俺は煤湯の為にも学校を頑張ろうと思っているから行けている。

「あいつは若くして居なくなったんだ…俺が変わりに長生きしないと。」


 俺は自分の教室に入り席に座った。

 その瞬間、俺は塩尻に殺されかけたことをぼんやりと思い出した。

 (あれ?そういえば俺はあいつに、、)


  数秒後、チャイムが鳴った。

  同時に先生は猛ダッシュで入ってきた。

 「いやぁ、ごめんごめん!」

  いつも通り遅れそうになりながら椿馬先生は入ってきた。

 「もう!先生はいつも遅れそうなんですから!」

  仲部は少し怒っていた。

 少しだけ頭を下げながら

 「ごめんな!」

 と、半笑いで先生は言った。


 「それよりも塩尻はどうした?またあいつ休んでるのか?」

 「あの人は今、、そっとしてあげたらどうですか?」

 「まぁ、そうだな...今は休ませてやるか。」


  塩尻の話をしていたら本人が急いでやってきた。

 「すみません!、、遅れました!」

 先生はニカッと笑みを浮かべながら

 「遅刻だぞーまぁ、俺もしたけどな!」

 少しだけ塩尻もニコッと笑った。

 「まぁ塩尻も来たことだし、授業始めるぞ!」


 先生は用意を始めた。

 俺は塩尻にされたことを思い出しつつあった。

 いつ、何をされるか分からない状況、俺は極度の緊張の中にいた。


 塩尻は俺の席の後ろに座ると、俺にこそっと話しかけてきた。

 「今、授業ってどこまで進んでる?」

 「ん?あぁ、ここまで進んでるぞ。」


 すると、急に塩尻は体を乗り出して俺の耳元で囁いた。


 「お礼として今から楽しませてあげる。」


 そういうと大声で

 「ちょっと先生には出て行ってもらいたいわね!」

 「え?まぁいいが・・・」

  と、いうと少し悩んだようだが、出て行った。

 (何でそうあっさりと、、?)


 彼女は教卓に上がり説明をしだした。

 「今から簡単なゲームをしましょう。」

「その名も(疑心暗鬼ごっこ)よ!」

 「ルールは簡単、神崎君に私が隠した<本物>の包丁を突き立てること。」

 「この学校の中に9本隠してあるわ、本物は1本とは限らないという事も覚えておいてね。」


  え?あいつ俺を殺す気か?

 しかもこのクラス皆に頼むなんて、

 俺は思わずみんなに聞いてしまった。

 「こんな話に乗る人はいるのか?こんなことしても利益は一切ないんだぞ!」

 「いやいや、あるわよぉ?」

 そういうとカバンに潜ましていたのか、アタッシュケースを開けた。

 「この中身、できた人に全部あげましょう。大体100万といったところかしら?」


 皆がざわめきだした。

 そんな中、声を上げたのは仲部だった。

 「その包丁、本当に殺せるものではないんでしょ・・・?それなら私、やります」

 塩尻はくすっと笑い

 「勿論!この学校で人を殺せちゃったら怖いもんねー!ほかの人は?やる人はいない?」


 まだ参加者が欲しいようだ。

 乗り気ではないようだが、みんなぱらぱらと手を上げ始めた。

 (一人が上げたらみんな上げるか・・・)

 「結局みんなやるのね。」

 クラスの皆、合わせて29人この量を相手に俺は逃げないといけないのか、


 「じゃあ最後に、私は<この教室>から出ないわ、何があってもね。そして神崎君が逃げるフィールドは村の中すべてよ。皆は神崎君が出てから10分後にこの学校の中の刃物を探す、タイムリミットは1週間。」

 「っと、一通りルールは説明したし神崎君、質問は何かある?」

 「、俺の防衛手段は?」

 「特に無いわ、隠れる、逃げるしかないわよ。」

 くそっ、俺には罠を作る技術なんてないし、

 (もう一つ聞くか、)

 「支給品は?」

 「保存食糧、水、これを約4日分、後はブルーシート、この村の地図があるわ。」

  なんで一週間分ないのか聞きたいところだが、節約しないと、だな。


 「もう質問はない?じゃあ行くわよ!」

 「いや、まだある。」

 「何よ、」

 若干嫌そうな顔をしていた。彼女は早くゲームをやりたくてうずうずしているので あろう。

 「何でお前はこんなゲームをしようと思ったんだ?」

 「・・・あなたがこれに勝ったら言ってあげる。」

 「じゃあ始めるわよ。」

 そう言うと、すぐにカウントダウンを始めた。

 「3、2、1、開始!」

 俺はその合図と同時に走り出した。

 「ふふっ、楽しいゲームの幕開けね。」


俺は教室を出て、階段を急いで降りた。

そして校舎から出た後、俺はさっきまでいた場所を確認してみると、こっちをまるで悪魔が宿ったかのような笑みを浮かべてこっちを見ていた。

俺はそんな塩尻を見たことがなく、若干の悪寒がしたが、とりあえず、南の方へと伸びる道に沿いながら逃げることにした。

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