電子戦に強き蜂 9K33 オサーAKM-P1 ザドロ
9K33は、ソビエト連邦が開発した地対空ミサイルシステムで、NATOコードネームは「オサー」(Osa)です。1960年代に開発され、現在でも多くの国々で運用されています。
9K33は、9M33ミサイルを発射する車両や、それを制御する指揮車両から構成されています。
9M33ミサイルは、最大射程15km、最大高度10kmまでの目標を攻撃することができます。
射撃指揮装置によって目標を自動追尾し、高い命中率を発揮することができます。
9K33は、軽量で搭載や移動が容易なため、様々な車両に搭載されることができます。
また、射撃指揮装置は車両から離れた位置に設置することができるため、柔軟な運用が可能です。
9K33は、1967年の第三次中東戦争で初めて運用され、高い命中率を発揮して注目されました。
その後、多くの国々で運用され、改良型や派生型も開発されています。現在でも、一部の国々で運用されています。
……ChatGPT楽しいです。ちょいちょい間違えたり、変な専門用語を作っちゃったりしますが。
今回も校正済みなので、まあ大丈夫でしょう。
オサーは、NATOではゲッコーと呼ばれる自走式対空ミサイルシステムです。
6×6輪の装甲車に、4発(初期型)または6発(改良型)の発射機とレーダー、射撃指揮装置を搭載しています。
最大速度は80km/h、そしてなんと、水上を8km/hで航行します。
対空ミサイル車両でありながら、水陸両用というのはかなり珍しい特徴です。
追跡レーダーは大きなJバンドパルスレーダーを1基、小さなHバンドパルスレーダーを1基備えています。
探知範囲は、それぞれ20kmと30kmです。一つのアレイに収まっているため、外見上は一つのレーダーに見えます。
二つの追跡レーダーが入ったアレイの両側に、自分のミサイルを追跡するための小さなJバンドパラボラアンテナがあります。
その下には、ミサイルに指令を送るためのIバンドレーダーがあり、誘導用の電波を照射します。
オサーは一見すると3つのレーダーを備えているようですが、実は大小6基ものレーダーを備えています。
これにより、一度に二発のミサイルを誘導することができます。
オサーは複数台合わせて一つのシステムとして行動することができ、4台の発射車両、2台の弾薬運搬車、1台のレーダー車両の計7台で対空陣地を構築します。
レーダー車両は6種類あり、175km〜250kmの探知範囲を持ちます。
オサーのミサイルは9M33と言います。ここから、4種類の進化・派生型が生まれています。
9M33は射程9km、最大高度5km、マッハ1.4のミサイルです。
条件が良ければ5m以内に着弾し、目標に直撃するか近くを通ると16kgの爆薬を炸裂させて攻撃します。
16kgは、強力ではありませんが、十分に致命傷を負わせることができる量です。
しかし短射程で高度も低く、速度も遅いので「弱い」ミサイルです。
一応、精度と射程は落ちるものの電子戦環境下でも対応できるよう、光学追跡システム……要はカメラがバックアップとなっています。
9M33M2ミサイルは、射程が10kmと僅かに伸び、対応する最低高度が50mから25mへ変化しました。
弾頭は19kgへ増量され、速度もマッハ1.6へ増しています。
9M33M3ミサイルでは、射程15km、最大高度12kmへと大きく伸びました。
弾頭は40kgと大幅増量、速度はマッハ3に達します。ただ、あくまで最大速度なので、基本的にはマッハ2.4のミサイルとして考えます。
9M33M3はかなり強力なミサイルに仕上がっていることが分かります。
この他に、詳細不明の9M33BM3ミサイルが新開発されています。
命中率は、9M33の場合、2発で35%から85%です。
9M33M2とM3では、55%から85%です。
この数字は目標の速度、高度、移動する方向、ステルス性により増減します。
個人的には、少々命中率が悪いように感じます。
目標の検出から射撃までは、26秒かかります。
停止してから射撃準備が整うまでは4分、ミサイルを撃ち尽くして再装填するには5分かかります。
ミサイルの燃焼時間は、ブーストが2秒、定格燃焼が15秒です。この時間は長いほど見つかりやすくなってしまいます。
この辺りも、なんとも言えない性能です。
オサーは元が古いだけあって、どうにも微妙な点が多いミサイルシステムです。
それはレーダーの使用バンドにも現れています。
オサーはHバンド、Iバンド、Jバンドのレーダーを使用しています。
これは古い規格であり、現代に直すとXバンドとKuバンドです。
Xバンドは精度と使い勝手が両立されたバンドで、Kuバンドは雨に弱くてレーダーの操作に正確性を要するものの、精度の高いバンドです。
と書くと悪くないように思えますが、XバンドはHバンドとIバンドを合わせたからこそ、精度と使い勝手が両立されているのです。
Hバンドは、使い勝手はいいものの精度は低く、ステルスに弱いバンドです。
小型ドローンやステルス巡航ミサイルのような相手を捉えるのは難しいでしょう。
Iバンドはミサイルの誘導用として使われているので、精度の高さを重視したのでしょう。
Jバンド(Kuバンド)は、ゲパルト自走式対空砲の活躍の要因の一つであり、これには期待できます。
しかし、ここで足を引っ張るのが射撃開始までの時間です。
時速900kmのステルス巡航ミサイルがあったとして、26秒で6km以上進んでしまいます。
Jバンドレーダーの探知範囲は20kmなので、ミサイルの射程をいっぱいまで活かしきれません。
それだけで済むならまだいい方で、ステルス巡航ミサイルやドローン相手だと探知範囲が20kmより狭まる可能性があります。
準備時間の26秒というのも最短の場合であり、それより長い時間がかかればどうでしょうか。
ミサイルは、最大速度付近で最高の命中率を得ます。加速中に迎撃しなければならないとなると、難易度は上がります。
こう考えると、対処できるのは精々1発か2発といったところでしょう。
6発も対空ミサイルを積んでるシステムとしてはショボい戦果です。
さらに、オサーのレーダーはパルスレーダーというものです。
このレーダーは自身から見て横向きに移動する目標を探知できないという特徴があります。
相手が真正面から向かってきてくれるならともかく、横方向にズレる進路を取られていると、非常に迎撃が難しくなります。
そこまで計算に入れて撃つとなると、巡航ミサイルはほぼ素通りさせることになるでしょう。
また、2発のミサイルを同時に誘導できるとは言いますが、同時に狙える目標は1つです。
つまり、同時対処能力はゼロです。一度に一機しか対応できません。
見てくれの数値は良いだけに、かなり残念な印象ですね。
いい感じに残念なオサーですが、電子戦対応力は目を見張るものがあります。
カメラによるバックアップがあるのもそうですが、同時発射した2発のミサイルをそれぞれ異なる周波数で誘導することができます。
これだけでも、相手は対応に苦慮することがあるでしょう。
そして、残念じゃないオサーもあります。ウクライナに供与されたポーランドのオサー、オサーAKM P1 ザドロです。
ザドロは全体的に近代化され、目標検出から射撃するまでの時間が短縮されています。
誘導性能も上がり、命中率が上がっています。レーダーの補足範囲も広がりました。
低空を飛行する目標、電子妨害を行う目標に対する追跡能力も上がっています。
レーダーの対電子妨害性能も上がり、アルゴリズムを導入して細かな動きを改善、訓練が楽に高度になり、メンテナンスが楽になって……と近代化の恩恵はかなりのものです。
ザドロは、赤外線カメラとレーザー測距儀を組み合わせたバックアップの誘導システムを持ちます。
このバックアップがどれだけの性能を持つかは分かりませんが、レーダーに頼らなくても良いということで、電子戦対応力が上がっていることは間違いありません。
赤外線カメラとレーザーなので夜間戦闘能力もありますし、レーダーを止めればステルス性も上がります。
敵味方識別装置も、新しいものが搭載されました。
車体が変わり、航行能力とオフロード性能は低下してしまいましたが、整備が楽になっています。
同時対処能力の低さやレーダーの特性は変わっていませんが、それ以外の、オサーを使いにくくしていた多くの部分をカバーしています。
ザドロはウクライナ軍の有力な対空ミサイルとして、活躍することでしょう。
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