ホワイトハウスの番犬 NASAMS
NASAMSはノルウェーとアメリカが1998年に共同開発した地対空ミサイルシステムです。
数度のアップグレードが施されており、いくつかの防空システムと組み合わせてワシントンDCの防空にも使われています。
どう運用するかにもよりますが比較的小型のシステムであり、大きさのわりに高い性能を持つと評価できます。
射程は長くはなく、最大25km「以上」とされます。しかし元となった(というかほぼそのまま使っている)AIM-120空対空ミサイルの射程は、型にもよりますが70kmや100km「以上」の射程があるため、地上から発射しなければならない点を踏まえても35km程度はあると見てもよいでしょう。
使用するレーダーは首振り機能の付いた小型のもので、上空3kmまでの敵を距離40kmで捉えることが可能です。首振りを停めれば上空12kmの高高度にいる敵も捕捉します。
巡航ミサイルやドローンに対しても高い効果を発揮するレーダーでありながら、移動が簡単という特徴も持ちます。
NASAMSは軍のネットワークと連動し、小型であることを活かして分散配置することで隙のない防空網を形成することができます。
ただしウクライナに引き渡される数は少なく、密な防空網を形成できるかは難しいところです。
また、ウクライナ軍のネットワークにつなげられるかは不明です。
元となった中距離空対空ミサイルのAIM-120は標準的な中距離対空ミサイルに見えますが、スペックに出ないところが強いミサイルです。
敵の電子妨害や防御機能に対して強く、性能のわりに小型で安価なため、数を用意できます。
また、途中までは戦闘機の指示に従って誘導されますが、敵との距離が一定以下になるとミサイルのレーダーを起動し、自力で誘導されます(今のミサイルにとっては基本の機能です)。
この特性上、戦闘機はAIM-120を発射した直後に(命中率は落ちますが)回避行動を取ることも可能です。
NASAMSにもこれらの強みは活かされます。
高い命中率、高い同時対処能力、誘導電波の放射を少なくすることによるカウンター攻撃の低減が期待できます。
また、先にも述べたように小型で分散配置することが基本のミサイルであるため、軍全体で見れば撃たれ強いシステムであると言えます。
このように、なんでもできるミサイル、超高性能なミサイルというわけではありませんが、求めやすい価格と性能を両立させながら非常に使いやすくなっているミサイルです。
あくまで軍隊としての能力を引き上げることに注力しており、非常にアメリカらしいミサイルシステムと言えるでしょう。
2022/11/18現在、巡航ミサイルに対する撃墜率は100%であり、高い命中率を誇ることが分かります。
ウクライナの防空網の一つとして、今後もウクライナ軍や市民を守り続けるでしょう。
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