生きることは 誰にとっても難しい

誰かに奉仕することによって


その対価としてまた別の誰かに奉仕してもらう


それか互いに利益を与え合う


取引によって自分にとってどうでもいいものを相手に捧げて


相手にとってどうでもいいものを自分のものとする


まぁなんでもいいじゃないか


それがぼくらの生の貧しき一側面



もっと豊かな現実は


汲み尽くせなくて目をそらす



吐き出してしまいそうなほど複雑な誰かの心は


僕らの心にやさしく響かないから


聞こえないふりをした



みんな苦しんでいる


みんな喜んでいる


そのぐちゃぐちゃになった感情を


僕らは存在していることに同意しつつ


自分の前で遮断している


理解を拒絶し


理性の代わりに感情が否定している



みんな知らないんだ


自分が知らないものもちゃんと存在していることを


存在して たしかに働いているんだ


どうしようもないほど複雑に どうしようもないほど確実に


世界は全部繋がっている


それは綺麗ごとなんかじゃなくて


世界でもっとも醜い男と 世界でもっとも美しい女が 実りのない恋に落ちるように


関係ないと思いたいほど醜悪な事実が


自分自身の人生とどうしようもないほど繋がれてしまっているんだ


誰もがその現実から目をそらして


都合のいい現実だけ切り離して認識し


それと自分を繋げようとしている


現実は複雑奇怪で


自分が一番嫌いなものと


自分が愛する自分自身とがどうしようもなく太い鎖でつながれている


だから 生きていくことは誰にとっても難しいことなんだ



自分とは異なる誰かの生を愚弄しないこと


その人も苦しみ 悩み 難しい生を送っているのだから


自分に見える景色だけですべてを判断しないこと


ぼくらは愚かで醜い存在で 自分と繋がっているものごとを 自分が不快だからという理由だけで都合よく切り離して悪く言う


まるで自分を育ててくれた両親の悪口を言うように


ぼくらはあらゆるものごとを悪しざまに罵る


だからゆめゆめ忘れないようにしよう


生きることは 誰にとっても難しいのだと

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