第60話 彼らの話
元々このファミリーはそこまでぱっとはしてませんでした。
無駄に歴史はあるが、特別な実力はない、金もない。特別優秀な団員もいない。
特に最近はダメだった。新興で実力がある組織や新人の教育を重視する組織に優秀な冒険者を取られる。
だから回ってくるのは俺らみたいな平凡か、それ以下。だから金も稼げない。教育にも装備にも金を回せない。だから拠点だってこんな街はずれに作るしかなかった。
そうなると俺らみたいな奴ですら回ってこなくなる、
だから、そこで、なので
新しいボスが一発逆転の為に思いついたのがモンスターを捕まえてくることでした。
なぜそれを思いついたかは私らにはわかりません。
ただ私らも最初はいい手だと思ったんです。おもっちまった。
強いモンスターを飼いならせればダンジョン攻略の効率が圧倒的にあがるのは間違いないでしょう。それにうまく増やせるなら金になるかもしれねぇ。
それで、ダンジョンの守衛を買収して、一匹、二匹とここまで運びこんで。
飼いならそうと、色々やったんです。しかしことごとくダメで。
挙句暴れたモンスターに仲間が数人殺されました。
もう俺たちはあきらめムードで辞めようって、そういったんですが上の連中はそれでもこれに食らいついていました。
もう引けなかったんでしょう。俺らみたいな下っ端はつぶれりゃほかのファミリーにいくだけですが、偉い連中はそうはいきません。
それでもどうにか、仲間を殺した奴だけは処分させるのは飲ませました。でも俺たちにはそいつらを殺せる実力なんかありゃしません。
もうそんな状態だったんです。殺せたとしてもあんな化け物の死体を処分しようなんて無理でした。
ですからここに連れてきたのと逆の方法で、檻に入れたまま数人で夜中にダンジョンに持ち込みました。
そこで放そうって話だったんですが、そいつらは帰ってきません。
やられちまったんでしょう。
後のことは皆さんがご存じの通りです。
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