心機一転!!保健室!!

第20話 口内炎に苦しむ保健室!!


 皆様お久しぶりです!!!あたし生徒会長!!!

 最近口内炎に苦戦していましたけど復活です!!!


 ー 保健室 N週目 ー


 「おーい、赤髪ィ、金髪ゥ生きてるかぁ~?」

 「金髪?何言ってるんです?この”時間軸”に金髪ちゃんはいませんよ?」

 「あはははは、時間軸と来たか!さしずめ時の神にでも幽閉されたらしいな!」

 「藍髪先生、もう少し自分の置かれた状況に危機感を持ってください!」

 「いや、少なくとも私の記憶はある。まるで”意図的にな”」

 「流石先生です!!それでこの先どうします?」

 「それは見ている神にでも任せるさ。

 例えば私に好意を向けている人間が、な」


 そういって先生はあたしを直視します!!

 シリアス禁止の保健室なので言及はしないようです!!


 「そ、そうういえば、口内炎の薬ありがとうございましゅ」

 「赤髪君、もうちょい嘘はうまく付けないのかねぇ」


 頭に手を当てうなだれる藍髪先生!!

 あたしは嘘をつく前に敵を殲滅するタイプの人種なんです!

 でも!先生が好きなのでそれができません!!


 「口内炎ってのは口の中の傷が原因だ。

 例えば今みたいに舌を噛んだり、免疫力の低下とかな」

 「先生は口内炎にならないんですか!!」

 「普通になるぞ?だから!!」


 白衣を勢いよく広げます!!

 その衣の下にはサバイバルゲームで使うポケットいっぱいの服!!

 各種薬が規則正しく入っています!!


 「あはははは、これでも医者兼保健室の先生だからな!!

 自分用を流用すればいいし!!」

 「でもこれ市販薬ですよ!!たしか効果薄いんじゃ?」

 「第1類医薬品処方は怖いし」

 「いつのまにヘタレになったんですか!!悪として裁きますよ!!」

 「あくまで応急処置、もちろん全部眠くなる成分は入っていない」


 「ちなみに保健室では”正式には薬は渡していないぞ”

 その辺のテーブルにたまたま落としたんだ」

 「やってることが自主規制の売人みたいです!!!」

 「しょうがないじゃないか。現行の法律では医療行為はできない。

 だから生徒が偶然持っていたことにするしかないのさ」

 「じゃあ保健室って意味ないんじゃないですか!!」

 「いや?私は全生徒の健康情報カルテ持ってるから、

 アレルギー関連全部知ってるし。そうでなければ市販薬すら渡せない」

 「無駄にハイスペック!!」

 

 先生の人脈ってやつでしょうか!!

 そういえば歯医者も紹介されましたし!!


 「で、口内炎だが薬だけでなく、歯ブラシの交換も勧めた」

 「歯ブラシって意味あったんですか?」

 「毛先が広がるとその分、歯以外に当たるだろ?

 そこから傷ができるのさ。噛んでできたもの以外はそれを疑ったほうがいい。

 これ私の経験談。歯ブラシ替えたらすぐ直ったからな」


 流石先生!!

 生徒へのフィードバックも万全です!!

   

 「あと口内炎出来たら免疫機能の低下の証拠。

 10分でもいいから普段より早く寝ることを勧めるぞ」


 「・・・・先生はお金持ちで自分の屋敷まで持ってるのに、

 なんで生徒の為に危ない橋を渡るんです?

 もう働かなくても人脈生かしてお金を稼げるはずです!!」

 

 ふぅ、とため息をつき、あたしに水の入ったコップを差し出します!

 白衣のポッケに手を突っ込み、グランドを見ます!

 まるであたしに顔が見られないように!!


 「私は天才と呼ばれているし、実際惑星のトップ医師だ。

 しかし所詮は肩書。

 現に困っている生徒1人にすら薬を処方できないし。


 君達とグラスに注がれた水は同じ。

 どちらも純真無垢で透き通っている。

 学園を卒業して、大人になってさ、何人がこの透明度を保っていられるか。


 少なくとも私の水は汚れちまった。

 だから、私自らできることをしたいんだ。

 偽善と言われても構わない。

 私は医者である以前に人で在りたいからな」


 なるほど先生の話は分かりました!!


 「先生の水が汚れているならフィルターで”ろ過”すればいいんです!!

 ついでに”加熱消毒”すればコップの水と変わりありません!!

 何故1人で全部背負うんです!!

 藍髪先生にはあたしがいるじゃないですか!!

 フィルターにでも、加熱する際の火にでもあたしはなります!!だから!!!」


 先生が私のほうに手を差し出します!!止めてくれと制止の合図でしょうか?


 「これ以上言われると私は赤髪君に必要以上に甘えてしまう!!!

 そうすれば君の望んだカッコイイ藍髪先生を演じきれない。

 私は皆の思うほど強くないんだ!!!」

 「分かりました!!この保健室ではシリアス禁止ですので!!」


 先生が振り返ります。私に見せたコップの水を一気飲みし・・・。


 「・・・・あはははは。らしくないところを見せたな。

 もう大丈夫だ。気をつけて帰るんだぞ!!」

 「はい!また明日保健室で!!」


 ここは保健室!気丈に振舞っている先生も患者かもしれないです!!  

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