第9話
三人でいると、私が一番年下だから、どうしても弄られてしまう。学生時代の友達といるときにはこんな扱いをされることはないけれど、すごく楽しい。
「私、やっと三浦さんのお顔を拝見できたと思ったのに。残念」
「そのうち会えるでしょ。だって、いくらなんでも、私たちも結婚式に呼んでくれるでしょ?」
「三枝先輩、それは気が早いですよ。まだプロポーズだってされてません」
「その前に拝見したいのー」
大島先輩は拗ねたように唇を尖らせた。ラズベリー色のリップがぷっくりと前へと突き出される。これを見て、キスをしたくない男性はいないんじゃないかと思う。
入社当初は、計算で可愛く演じているのかなって思っていた。だけど、仲良くさせていただくようになってから、可愛い仕草は全部天然ものなんだってことが分かった。それからというものの私は、大島先輩のことをずるいなって思っている。
「いつか会えますって」
大島先輩にもいつかはご紹介しようと思う。だけどいくら人妻とはいえ、天然でこれだから、要にプロポーズされるまでは会わせないでおこうと思っている。
「そういえば柚ちゃん、もうすぐ誕生日でしょ。その時にプロポーズされるんじゃない?」
「えっ」
来週の六月二十二日は、私の誕生日。だから、三枝先輩に言われなくても、少しだけ期待するような気持ちはある。
「いいなー。いいなー。私も圭吾さんからもう一回プロポーズされたい」
「いつでもラブラブですね」
大島先輩も宮本課長はいつもお互いを思い合っている。私もいつか、宮本課長と大島先輩みたいになりたいと思っているのは本心だ。そんな話をしているとあっという間にお昼休みの終了時刻が迫ってきた。お昼ご飯を食べ終えて、午後の業務に間に合うように会社へと帰る。
「柚ちゃん」
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