　確実に命を落とし、地面に倒れたアークの元に地面に染みている血の波が流されていく。

　アークは死んだ。

　だが、アークの魔法は死んでいない。

　今、発動したのだ。

　この場の誰も気づいていないが、アークの魔法の効力によって既に死体であり、動いていなかったリーナの心臓が動き出した。

　歴史上例のない奇跡。

　死者蘇生が今、静かに行われたのだった。

　だがしかし、アークの魔法の本懐は死者蘇生ではない。

「のぅ。アーク」

　アークが死ぬ。

　それを魔王であるロキは……アークの婚約者であったマリーナが認めるはずがなかった。

「……ッ！？ま、魔王！？」

　アークの魔法の本番はこれから。

　この世界の理より外れた完成されし不死者が今、産声を上げる。

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