第34話
私は何をしているのだろうか……?
「ぐふっ」
私の人生は、私の生涯は、私の思いは……すべて、アークに向けたのではなかったのだろうか?
なんで今、私はアークの心臓を己の剣で貫いているのだろうか?
「かふっ……」
見たくなかった。
アークがこの世界の人類を滅ぼすところを……アークがラインハルト公爵領を滅ぼすところを。
私の知っているアークは他者のため、自分の愛する者のために
「き、貴様……ッ」
アークは武器を使って戦う……だが、今のアークは武器を持っていない。
アークは豊富な魔力を持ち、数々の魔法を使う……だが、今のアークの魔力はほとんど枯渇しているように見える。
アークはいつも健康的だった……だが、今のアークは見るからに体調が芳しくなく、万全だとは言えないような状況で立っていた。
「……ぁあ」
だから、アークは殺してほしいのだと思った。
死を願っているのだと思っていた……ゆえに、私はアークを殺すために剣を振るうことを決意し、アークを殺す覚悟を決めた……はずだった。
「……あー、く」
だがしかし、アークを殺した私の心は深い悲しみに閉ざされ、体が震えている。
「……ふぅー」
深く息を吐いたアークの頭が私の肩に落ち、重量を感じさせる。
「愛している」
そして、アークは私の耳元で愛の言葉を囁く。
「……え」
その言葉を聞いた私は固まり……そして。
「お別れだ」
アークの体が光に包まれ、私の体も光に包まれていく。
「ま、待ってッ!?」
アークの光が私の方へと流れ、私の体の輝きを更に高めていき……自分にもたれかかっているアークがどんどん死に、この世界の底に落ちて行っていることを明確に感じ取る。
「私もアークをッ!!!」
「……ぁ」
私の絶叫、まだ死なないでという浅ましい願い……それを遮るようにアークの体から光が失われ、私にもたれかかっていたアークの体が地面へと落ちる。
「……ぁ、あ」
私は膝をつき、アークの頭に手を触れる。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああッ!」
そして、なんとも醜いことに……私は瞳より涙をこぼし、泣き叫んだのだった。
新作だよー、よかったら見てねー。
『ゲームの悪役貴族に転生した僕は悪役らしく女を囲い、貴族の強権で好き放題したいと思います。でも、断罪は嫌なので主人公陣営からは距離を取りつつ……待って!?こっち来るな、ヒロインどもッ!』
『https://kakuyomu.jp/works/16817330653098677965』
『カルト宗教の教祖は嘆きたい~神様に脅されてカルト宗教の教祖になった高校中退生は社会不適合者を狙って教徒にしようとした結果……ヤンデレ少女ばかりになったんだが?~』
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