第33話

 僕とリーナがぶつかってからどれくらいの時間が経っただろうか?」


「ふぅー」

 

 僕はリーナとの激闘の中、痛む体を無理やり動かし、霞む視界の中にかろうじてリーナの姿を捉え、拳を振るう。


「魔力が……尽きたのか?」

 

 僕とリーナの戦いを端から見ていたスー姉が一切魔法を使わない僕を見てぽつりとつぶやく。


「ふふふ……」

 

 僕はここに来るよりも少し前から色々と作業をしていたせいで戦う前からほとんど魔力が無いような状態だったため、リーナとの戦いの途中で魔力が枯渇。

 僕は魔法を一切使わず、拳だけで頑張っていた。


「魔力が無くなろうともッ!我には関係ないッ!」

 

「……」


 魔力を失い、身体強化をかけられないせいで遅い体を動かし、驚異的な力を振るうリーナに技術力でなんとか食らいつく。


「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

 だが、そんな抵抗にも限界がある。

 ざっくりと腹をリーナの剣で斬られ、膝を地面につけて息を荒らげる僕は己の目の前に立つ

 

「……もう、終わりよ。アーク」


「まだだッ!まだ僕は終わらぬッ!!!」

 

 僕はふらふらになりながらも立ち上がり、自分の体より……『力』を出現させる。


「「「……ッ!?」」」 


 それは生命の力であり、魂の力であり、根源の力であり、己そのものである。

 生きとし生けるものが持ち、己をこの世界に定着させている決して触れてはならぬ『力』へと死霊魔法による反則技によって触れた僕はそれを己の体から噴出させる。


「何かさせちゃダメだッ!!!リーナッ!早く殺せッ!」


「急げッ!!!」

 

 スー姉とスーシアが叫び……リーナが地面を蹴る。



「愛している」

 

 

 心の底より告げられる愛の言葉。



「ぐふっ」


 

 その言葉と共に僕の心臓を貫くリーナの剣。


「かふっ……き、貴様……ッ」

 

 口から血を吐く僕は体を震わせ……体外に放出していた己の『力』が霧散しているのを感じる。


 あぁ……これで。

 

 僕は己の計画がすべて完璧になったことを確信し、心の奥底で笑みを浮かべ……最後の仕上げをするためにゆっくりと腕を動かした。

 

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