第32話
不死者によって汚された大地をなおもすべてに光を届ける太陽の光の下。
「ぬぅ……想像以上ではないかッ!思ったよりもやりおるなァ!」
素手で戦い、元気に声を張り上げる僕と。
「……」
光り輝く剣を振るい、僕とは対照的に無言なリーナ。
「……ぬぅ」
「……くっ」
僕たち二人は多くの観衆の元、互角の戦いを繰り広げていた。
「はぁぁぁぁぁぁッ!」
リーナの手によって握られる莫大なエネルギーを持つ光り輝く剣……その剣は圧倒的な力は僕の命をも簡単に刈り取る。
「ふっ」
僕はギリギリの態勢でリーナより振り下ろされる剣を回避する。
「しッ!」
そして、リーナの剣を避ける段階で態勢を崩して僕はそのまま地面へと手をつけた僕は足を伸ばし、リーナを気絶させるべく彼女の顎を狙う。
「無駄」
リーナは僕の蹴りに対して頭を合わせてガードし、己の手に握っている剣の柄を僕のお腹へとめり込ませる。
「捕まえた」
僕はリーナの剣の刃を手でがっちりと掴み、彼女が僕の元から逃げられないようにする。
「さぁッ!頭突き合いと行こうかッ!」
超至近距離でにらみ合う僕とリーナ。
僕はリーナへと向けて己の頭を振り下ろし……彼女も応戦する。
「「……ッ!」」
頭同士のぶつかる鈍い音がこの場に響き渡り、血しぶきが舞う。
「……ぁ」
頭突き合いの限界……それを早く迎えたのはリーナであった。
彼女は足元をふらつかせ、剣を握る腕が緩む。
「よっと」
僕はそんなリーナの腹へと蹴りを差し込んで吹き飛ばし、剣を強奪する。
「これはもーらい」
僕は彼女の力の源となっている剣を手で回し、頷く。これで僕の方が圧倒的に有利。
そう思ったのだが、その剣は光の粒子となって消えてしまう。
「ありゃ?」
僕は自分の元から消え……いつの間にかリーナの手元へと戻っている剣を前に首をかしげる。
「……こ、こんなことも覚えていなかったのッ!」
そんな僕を見て体を震わせるリーナはそう叫び、僕の方を睨みつけてくる。
「あぁ……そういえばあの剣は君の魔法によるものだったね……忘れていたよ。ごめんね」
僕は怒るリーナに対してそう告げ、未だに血を流し続ける己の手の平を焼いて止血した。
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