第31話

 愛している。

 

 愛している。

 

 愛している。

 

 物心ついた時から。


 ずっと、ずっと、ずっと。

 

 愛していた。

 

 ■■■■■


 興味がなかった。

 

 どうでもよかった。

 

 関心もなかった。

 

 人間のことなんて。

 

 ずっと、ずっと、ずっと。

 

 人間に対しての情なんて生まれないと思っていた。

 

 ■■■■■


 だが、その愛が途絶えることはなかった。

 

 半ばで終わった。

 

 婚約者が、出来てしまったのだ。

 

 私の目の前は真っ暗になった。

 

 ■■■■■

 

 人間に興味がない……そのはずだった。


 私は己の婚約者を愛した、愛してしまった。

 

 私は魔王という己の立場まで捨て、この愛のために生涯を終えようと思った。


 なのに、私はこの世界の強制力によって半強制的に己の婚約者へと刃を向けることとなった。

 

 私の目の前の真っ暗になった。

 

 ■■■■■


 だが、絶望だけでは終わらなかった。

 

 だが、絶望だけでは終わらなかった。

 

 別たれた二つの道。

 

 別たれた二つの道。


 それは再びつながった。

 

 それは再びつながった。


「愛ゆえに貴方を殺すわ」


「愛ゆえに貴方のそばに」

 

 似たような二つの道が辿り着いた到着点は正反対のものだった。

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