第29話

 宣戦布告はした。

 なら後は無双するだけである……腑抜けたリーナの背中を叩くために。


「まず一人」

 

 僕は四天王統括である男のすぐ背後へと移動し、心臓へと手を一突き。

 心臓をガッチリと掴んでそのまま引き抜いてやる。


「……なっ……ァ」

 

 そのまま四天王統括は地面へと体を倒し、


「そんな……」


「バカ、な」

 

 ロキが死んだことになっている今、魔族最強である四天王統括を殺した……これは魔族たちに強い影響を与えるだろう。


「次」

 

 次の狙いはスー姉である。

 地面を蹴り、四天王統括のすぐ近くにいたスー姉へと手を伸ばす。


「させるかァッ!!!」


「おぉ!」

 

 スー姉とのタイマン……それじゃ僕は負けるつもりはないし、殺すのに数秒もかからないだろう。

 しかし、途中でスーシアに攻撃されて途中で進行を止められる。


「成長したもんだなァッ!オイッ!スーシアァ!」


「良くも我が領地をッ!ここで……必ず殺すッ!!!」

 

 僕に怖気づくことなく、明確な殺気を全力で飛ばしてくる唯一の人材であるスーシアは果敢に斬りかかってくる。


「……ッ!え、援護するわッ!」

 

 そして、大慌てでスー姉もスーシアの援護に回る。


「思ったよりもやるね……二人とも。その成長はちょっと予想外だったよ!」

 

 僕は二人から繰り出されるコンビネーション完璧の攻撃をすべて捌き、いなしながら口を開く。


「クッ……減らず口をッ!」


「……どれだけ余力を残しているのかしら」


「ハッハッハ!良いじゃん、良いじゃん。久しぶりの戦い……楽しませてもらうよッ!」

 

 ラスボスである僕と主人公たちであるリーナたちの戦いが本格的に始まった。

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