第27話

 死の大地となってしまった大陸を……リーナたちはゆっくりと進んでいく。


「ど、どこまで……」


 彼ら、彼女らはかなりの距離を飛行している。

 それでもなお、未だに生存者を一人として見つけることが出来ず、すべての大地が汚染されてしまっていた。


「……クッ」

 

 どんどん進んでいき……大陸の中央。

 魔導帝国テュフォンが君臨している場所にまで到達する。


「……ッ!わ、私の領地がッ!?」


「……帝都も、駄目……でも、まだ私の領地は……」


 魔導帝国テュフォン。

 リーナたちの母国たる偉大な帝国は四方を不死者に囲まれ、ジリジリと包囲網を縮められ、滅亡の危機に陥っていた。

 ベルコー二公爵家の統べる領地は残っておらず、また、偉大な皇居が君臨していた輝かしい帝都も滅んでしまっている。

 だが、ラインハルト公爵家領は未だに不死者の攻撃は受けていないようだった。


「お父、さま」

 

 今まで沈黙を保っていたリーナが口を開く。

 不死者たちは今まさにリーナの治めるラヴァニア公爵家領に攻撃を仕掛けており、それに対抗するため、元公爵家当主であり、リーナの父であるストライト・フォン・ラヴァニアが軍を率いて必死に戦っていた。


「どうやら、人も魔族も関係ないようだな」

 

 ストライトに率いられているのは人だけではなく、魔族までもおり、不死者という脅威に対して人と魔族が共闘関係を築いていることを四天王統括は確認する。


「全員降下ッ!不死者を叩きのめすわッ!少しでも……少しでも良いから食い止めるのよッ!」

 

 魔導帝国テュフォンは山がちな地形であり、不死者の多くが必死に山登りをしているため、ほとんどの不死者が誰とも接敵していない。

 そんな中、不死者と戦っている唯一の戦場たるラヴァニア公爵領。

 スーシア・フォン・ラインハルトの命令でこの場にいる全員が不死者共を倒すため、魔法を使って攻撃をしながら空から強襲を仕掛ける。


「助太刀をッ!」


「助かるッ!!!」

 

 リーナたちが不死者と生者の戦いに参入した……その瞬間。



「待っていたよ」

 

 

 一人の男の声が響き渡った。

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