第26話

「……な、なにこれ」

 

 大陸の方へと全員で飛んできたリーナたち。

 彼ら、彼女らの目に入ったのは何もかもが潰れ、腐り、死の大地へと成り果てた……国が、あったはずの場所。


「ここがステリア小国の王都……?あの美しい王城は……」


「わ、私の……祖国、が……」


「これは美術品も。何もかもが残って、いなさそうね」


「こりゃ酷い」


「……魔族も全滅、であるな」


「のようだな……」


 目の前の光景に絶句する面々をよそに伝令を抱えたスーシアは地面へと降り、土へと手に触れる。


「……アーク、だな」

 

 不死者は辺りのものを腐らせるという性質持っている。

 スーシアの触れた大地はすべて腐りきっており、間違いなくここを大量の不死者が荒らしたことが予想出来た。


「どれだけ……」

 

 スーシアは恐怖する。

 不死者はこの世に存在するすべてのものを腐らせる……だがしかし、その効力はたかが知れている。

 不死者一人に一晩果物を抱えさせ、ようやくひとつの果物が腐る程度だ。


「どれだけの不死者を集めたらこんなことになるのだ……?」

 

 大地を腐らせる。

 そんなこと……一体どれほどの不死者が入れば可能となるのか。

 数千……数万……数十万……その数は公爵家の当主として多くの人間を管理しているスーシアであっても想像つかないほどの数字であった。


「アーク……お前はどれだけの人を……ッ」

 

 スーシアにとってアークは薄気味悪く、どこか恐怖心を与えるような子供であった……しかし、それでも確かに他人への優しさも持っていたし、年相応の可愛さも持っていた。

 なんで、アークが人類を滅ぼす敵となったのが、それがわからず……スーシアはボヤいた。

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