第17話
「今よ」
「「「了解」」」
スーシア・フォン・ラインハルトの命令で彼女の指揮下に入る三人が行動を開始する。
「……ッ!?襲撃よッ!」
「に、人間!?」
「なんでこんなところに!?」
スーシアの命令で動き始めた三人が襲ったのは食料品を運んでいる女性たちであった。
彼女たちは決して兵士ではない。
戦う力など持っているはずもない彼女たちは呆気なく殺される。
「……何の抵抗も出来ない者たちを殺すのは、何度やっても慣れませんね……」
「そうだな……」
何の抵抗も出来ない彼女たちを殺したことに負い目を感じている少年、少女。
「そうね。でも、そんなこと言っていたら魔族との戦いには勝てないわ。魔族も抵抗する力のない市民を容赦なく殺している……躊躇う理由はないわ」
そんな彼ら、彼女らを励ますようにスーシアが声をかける。
「ここで私たちが躊躇い、負ければ人類は滅ぼされる……わかっているでしょ?ここで、私たちは勝つため、最大限の努力をしなければいけないのよ」
「そう、そうね!私たちには人類を守るという義務があるものね!」
「あぁ。そうだな」
「俺たちは義務をこなすだけだ」
「えぇ。そうよ……私たちに出来ることはそれしかないわ。公爵家当主として宣言するわ。必ず人類を魔族の手から救って見せる、と。だから、私に任せて頂戴」
「もちろん!スーシア様のことは信頼していますから!」
「あぁ。そうだな」
「これからも、よろしくおねがいします。
「もちろん。任せてちょうだい……さぁ、三人はいつもどおり私よりも先に帰還していて頂戴。私は彼女たちの身辺を調査するから」
「はい。わかりました」
「それでは」
「おまかせします」
「気をつけてね」
スーシアの命令に従って三人は行動を開始する。
「……飢餓戦術。指揮とっている私が言うのも何だけどあんまり気分の良いものじゃないわね」
彼ら、彼女らが立ち去るのを見送った後、女性たちが運んでいた食料へと火を放ったスーシアはポツリと呟いた後、この場から立ち去った。
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