第16話
魔王城がそびえ立ち、多くの魔族が住まうのは人類社会が広がっている大陸より海を挟んで少しだけ離れた大きな島である。
高緯度帯に位置し、極寒の気温に包まれるその不毛の土地はまともに作物も育たず、家畜も根付かない。
食べるモノはほとんど無く、魔力だけで動くことの出来る強力な魔物以外に食料がないような大地。
生物が住むにはあまりにも過酷過ぎる環境の大きな島へと上陸する人間たちが数十人。
「……さむっ」
「こんなところで魔族たちは……」
「……情報どおりね」
「うぅ……魔族ってこんな寂しい土地に住んでいるですかぁ?」
「……本当に、酷いな。土が死んでいる」
「こんなところで戦闘行動をするのか」
「寒いのは普通に嫌いなんだけど」
思い思いの感想を述べながら慎重に島へと上陸したリーナ率いる小隊は手早く行動を開始する。
ここまで乗ってきた船を解体して地面へと埋め、そそくさとその場から離れ、自分たちがこの地に降り立ったことを魔族に悟られないように行動する。
「さて、と……」
潜伏するための小屋を建てるために好都合な環境である森林のようなものはなにもない荒野や山地でしかない魔族の大地では地上に小屋を建てることは不可能。
地下に簡易的な小屋を作ったリーナ率いる小隊。
その小隊の中ですっかりリーダーとして収まっているスーシア・フォン・ラインハルトが人たちの前に立って口を開く。
「私たちは敵の本拠地へとたどり着いた。まずは当初の予定通り情報収集を行うわ。魔王であるロキももちろん、うちの不肖の弟であるアークも強敵よ。決して油断しては駄目よ」
スーシア・フォン・ラインハルト。
この世界で誰よりもアーク・フォン・ラインハルトの異常性と有能性を知っている彼女は内心の恐怖を押さえつけながら毅然に口を開き、リーダーとして全員を統率していた。
あとがき
新作ー。読んでくれると嬉しいなぁ。
『毛むくじゃらなドワーフたちからパイ◯ンだからと国から追放されたTS転生ドワーフパイ◯ン褐色ロリ娘である僕は飢饉に苦しむ国家へと流れ着き、そこで農業革命を起こして国を救っちゃいます!』
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