第14話

「……ぁ」

 

 すべてが終わっていく。


「……ぁ、あ、あぁぁぁぁ」


 人類が必死に築き上げた村も、街も、歴史も。


「あぁァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

 

 すべてが崩れ去る。


「嫌だぁッ!し、死にたく……死にたくないッ!!!」

 

 人が、亡者によって飲み込まれていく。

 溢れ、混ざり、ぐちゃぐちゃの肉塊となりながらただただまっすぐ進んでいくまるで津波のような亡者の群れは進行上にあるものすべてを飲み込み、己が仲間へと加えながら猛進していく。


「……お母、さん」


 亡者の進む速度は早く、逃げ遅れた多くの人が亡者に飲み込まれて亡くなっていく。


『ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』


『ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』


『ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』


 一体誰の声なのだろうか?

 亡者たちの上げる声は互いに混ざり合い、天にまで届かせる。


「……この世の、終わりだ」

 

 地上を踏破する亡者を飛行魔法を使い、空から見ていた男は絶望と共に声を漏らした。

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