第12話
魔導帝国テュフォン並びに人類社会は魔族への対処に失敗した。
村や街は魔族たちに次々と占拠され、略奪、殺戮、陵辱の限りを許してしまうような事態となり、組織だった抵抗は出来ず、物流は沈黙。
辛うじて、大規模な街は衛兵並びに冒険者の活躍で守れているだけという人類にとて最悪の時代が訪れていた。
そんな中で。
魔導帝国テュフォンが誇る三帝公爵家の女三当主率いる十数人の小隊だけは魔族を相手にして十分な抵抗をすることが出来ていた。
魔族に占拠された村や街へと襲撃を仕掛け、魔族を退治してそれらの拠点を次々と奪還。
彼女たちの尽力によって、ようやく人類は自らの生存権を点ではなく、面にすることが出来、各村や街ごとでの連携が可能となり、魔族へと組織だった抵抗を出来るようになってきていた。
「そろそろ次の段階に入るべきだと思う」
そんな中で、ラインハルト公爵家の当主たるスーシア・フォン・ラインハルトは口を開いた。
彼女の前には自分たちが率いる小隊、十数人が勢ぞろいしている。
「……次の段階ですか?」
リュートとリンリーが殺され、アークと再会した日以来、全く元気の無いリーナが彼女の言葉を聞き返す。
「そうよ……まず、魔族は一切統率が取れていない。これは私たち共通認識であり、間違っていないと思うわ。魔族は各々が少人数で固まり、村や街を占拠している……この占拠している魔族たちは私たちなら確実に勝てる。つまり、別にこいつらは無視でいいわ」
「……ッ!?い、今も魔族の支配の元、苦しんでいる人がたくさんいると思うのですが」
「そんなのわかっているわ……でも、それらを開放するのは他の人たちに任せましょ。私たちがすべきことは魔族に勝利することよ」
「勝利か。確かにそうだなぁ。で?無辜の民たちが苦しめられている村や街を見捨てて何をしようって言うんだ?」
「魔王を殺すのよ」
「……ッ!?」
「私たちにとって最悪なのは再び魔王の元に下った魔族たちが組織だった行動を取ることよ。そうなる前にさっさと魔王を叩き潰してしまうという戦術は理にかなっていると思うのはどうかしら?どうせ私たちは魔王とは戦うことになるのよ。奇襲しちゃったほうが良いと思わない?」
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