第11話
「……ぁ」
僕に心臓を貫かれたリュートは目から光を失い、ゆっくりと体を倒す。
「うむ」
リュートの魂、力が僕の中に流れ込んでくることを確認し、頷く。
どうやらちゃんと彼を殺せたようだ。
「良し、帰るか」
目的は達した。
長居は無用であろう。
「……アーク、様」
この場からサクッと転移して居なくなろうとした僕の名を呼ぶ声が耳へと入る。
「ふっ。久しぶりだね。リーナ」
転移を途中で中断し、僕は後ろを振り向く。
そこには動きやすいような鎧を身にまとい、手に持った剣を血で濡らしたリーナが立っていた。
「お、お久しぶりです……」
リーナは僕との突然の邂逅に驚いているのか、困惑気味で言葉から覇気を感じない。
「……ッ!!!」
「あ、アークッ!?」
「アーク様ッ!?」
僕の元へとやってきたのはリーナだけではなく、スー姉、スーシア、マリアの三人まで来てしまう。
「ははは、大集合だね」
「……ッ!?リンリーッ!?リュートッ?!?」
スーシアが僕の足元に転がっているリュートとリンリーの死体を見て驚愕の声を上げる。
「そ、そんな……じ、自分が何をしたのかわかっているのかッ!アークッ!!!」
放心している三人とは違い、スーシアは明確に僕へと敵意を向け、殺気のこもった叫び声を上げる。
「いや、今更でしょ。僕が抜けたことでどれだけの人間が犠牲になったか……それを考えれば二人ほど増えても誤差だろ」
「……、……ッ!」
サラリと告げた僕の言葉にスーシアは口をパクつかせ、絶句する。
「な、何故……我々を裏切ったの、ですが……」
そんな中、リーナが口を開き、僕の方へと足を一歩進める。
「僕の目的のために」
リーナの質問に対する僕の答えは簡潔であった。
「や、やっぱり……マリーナ、なの?彼女の方が良いの…?」
「否。我が目的。それすなわちラインハルト公爵家の目的、宿命なり……僕らの一族は決して不死の魔力から逃げられない」
「ふ、不死……お父さんと同じ……?」
「あぁ。そうだとも。ラインハルト公爵家の宿命だとも」
「そ、そんな宿命無いだろう!我が家にはッ!!!」
「あるとも。僕はラインハルト公爵家の悲願を終わらせる。僕と君たちはここでさようなら……そして、二度。僕と君たちの道が交わることはないであろう」
「い、嫌ッ!!!」
リーナは絶叫し、僕の方へと走り出す。
「……ッ。そ、それは許さぬ」
僕は慌てて時空間魔法で次元をズラし、僕の方へと近寄れないようにさせる。
「では、さようならだよ。君たち」
僕はサクッと転移を実行し、この場から立ち去った。
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