第8話
人類が魔族に対して持っていた前線。
それはいとも容易く崩壊した。
理由は実に単純。
兵站が崩壊した。
この一点に限る。
元より何十万もの兵站を支えるシステムを構築したのもアークであるし、それらを維持するために暗躍していたのもアークである。
アークの抜けと言うあまりにも大きすぎる穴はあっさりと前線の兵站を破壊し、そのまま魔族による人類居住地への侵攻に繋がった。
「……お前、凄すぎだろ」
「それな」
人類の前線の崩壊から、魔族による人類居住地への浸透までをすべて見ていた僕とロキは互いに唖然とする。
「私ら魔族の人類侵攻の際に使う伝統戦法が打ち破られた理由はお前にあったのか……いや、私が積極的に戦いに出なかったっていうのもあるもあるんだけどさ」
「ちょっと僕が抜けただけでこんなことになるとか流石に予想外なんだけど……いや、こんなんになるか?普通」
確かに僕の影響力は自分で言うのも何だが、かなり高い。
しかし、だからといってここまでの影響力は無いと思ってたんだけどな。
「それで?これからどうするの?」
「どうする、とは?」
「君の本来の作戦では魔族を一回人類が滅ぼしてから、人類を君がそのほとんどを滅ぼすつもりだったんでしょ?」
「いや、僕は死体が積み上がりさえすれば何でも良いからね。最終的には僕の不死者軍団がすべてを狩り尽くす……そこまでの過程はさほど重要じゃない」
「まぁ、そうね」
「このままどうなるか、僕はこの世界の逸脱者らしく傍観者として現状を楽しませてもらうよ」
「ふふふ。なんか魔王と死霊之王らしき邪悪さね」
「だろ……?せっかくだしワインとか持ってくる?」
「良いわね。それ。私が持ってくるから待ってて頂戴」
ワインを取ってくるためにロキが退室した後の部屋で。
「こうしてみるとなんか、ゲームみたいだよなぁ……」
スー姉、リーナ、スーシアの率いる十人が定められた各ステージをクリアするように魔族の拠点を各個撃破している様子を見て僕は感想を漏らす。
「……やっぱり不穏分子は摘んでおくべきかな」
僕は映像に映っている一人の少年を見てボソリと呟いた。
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