第5話
誰も来れないような世界の片隅に建てられた屋敷。
そこに広がっている大きな世界地図に各所に置かれた特別性の魔道具……監視カメラと同じ役割を果たす魔道具より送られてくる映像が
「はぁー。なんでお前がこんなにも協力してくれているのか、皆目検討もつかないけど、
「……理由なんて察しろし」
何故か僕の足をゲシゲシと蹴ってくるロキにこいつはやはり敵なんじゃないかと思いつつ、どうすれば魔族と人類の争いで死者が多く出るかを考えながら目の前に地図やら映像やらを眺める。
「うーん。人類側を魔族が大量に殺すの難しそうだな」
「……まぁ、そうだね」
僕の言葉にロキが頷く。
人類側で戦争に出ている数など全人口の一%にも満たないが、魔族が脅威の9割超え。
ほとんどが最前線で戦い、略奪を繰り返すことでなんとか食料にありついている……というか死んだ仲間の死体、敵の死体まで燃やして食べている。
魔族の兵站事情はかなりひどそうだった。
「元より我ら魔族は王を中心に一点突破。相手の戦線をぐちゃぐちゃにしたところで魔族の兵士が進軍。防衛網を無視してそこら辺の村や街を襲撃。略奪を繰り返しながらゲリラ戦をするのが魔族の戦い方だからな。初手で突破出来なかった時点で魔族は詰んでいる……まぁ、詰むように私が誘導したんだけどな!」
「何してんだよ。お前は一応魔族たちの首魁だろ……魔族を殺すのは人類に任せて、人類を殺すのは僕がやろうかな……」
「そんなこと出来るの?」
「僕は現時点でも数千のアンデッドを召喚出来るぞ。帝国の帝都に数千のアンデッドが出現するのを想像してごらん?」
「じ、地獄だ……」
「魂を抜いた死体。それらを操るのも死霊魔法の力……数万、数十万、数百万。圧倒的な数の暴力が実現するぞ」
「本当に反則じゃんか。その魔法。ナーフが必須でしょ」
「残念ながらこの世界はゲームじゃありません!それにゲームだとしても僕は既に世界の理から外れているので問題ありません!」
「ひどい……ッ!ひどすぎる……ッ!」
「というかナーフが必要なのは君もでしょ」
「まぁ、これでも魔王ですから!ありえんくらい強い勇者でも現れん限り負けないとも!」
「だろうね……さて、と。じゃあ、ロキ。魔族を動かして。こっちの準備も終わったからね」
「良いわよ……後、結構言っているけど、そのロキって名前辞めて。マリーナって呼んで。自分でつけた名前の方が良いの」
「断る。良いからやれ」
「ぶぅー、はい、はい。やりますよ」
僕の言葉に頷いたロキが魔族たちに司令を出していく。
……ロキをマリーナなんて呼んでたまるか。ただでさえ薄れいている危機感が消滅してしまう。
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