第4話

 僕が死霊之王を名乗ってからどれくらい経っただろうか?


「アーク。ご飯出来たわよ。食べる?」


「ちょっと待ってー。魂をエネルギーへと変換するシステムがもう少しで完成するからそれまでは待ってて」


「わかったわ。それじゃあ待っているわね」

 

 僕は己の魔法を完成させるための準備を行い、ロキがそれを支えるかのように家の家事をする。

 ここ最近の僕とロキはそんな生活をずっと送っていた。

 ロキが家事をやってくれることに対し、僕は感謝しつつも……こう、なんとも言えない気持ちをうちに抱いていた。


「よし、出来た」

 

 システム構築が終わった僕は体を伸ばし、立ち上がる。


「ん。おつかれー。ご飯は時を止めて保存しておいたよ?」


「……そんなことで伝説上の時間操作使うなし」


「そんなことにでも全力を出すのが私だから。それに時間操作なんていくらでも対策されちゃうからね……アークにもサクッと無効化されるし、雑魚狩りようの魔法ならもっと便利なのいっぱいあるし、こんなことにしか使えないよ」


「保存に便利だぞ、時間停止は」


「私はアークみたいに阿呆みたいに物を入れられる亜空間作れないし。保存に使えると言われても……」


「まぁね……良し。じゃあ、食べるか」


「そうね。いただきます」


「いただきます」

 

 僕とロキは互いに食前の挨拶を口にし、食べ始める。


「でも、これで大体の魔法構築は終わり?」


「うん。そうだね……ほとんど終わったかな」


「良いじゃん。じゃあ、さ。そろそろ動き始める」


「そうだね……まぁ、そろそろ派手に動く頃かなぁ」

 

 僕は未だに僕が抜けた影響から脱せていない帝国のことを思い浮かべながら呟いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る