第3話
魔法で作ったアイスを食べながら、ソファでだらけているロキが口を開き、僕へと疑問の声を投げかけてくる。
「アークが使った死霊魔法って結局何なの?普通にリーナ、だっけ?あの子ピンピンしているじゃんか」
「んー。でも、リーナはちゃんと死んでいるんだよね。僕の魔法でアンデッドとして動いているだけ」
ロキと同じくソファでだらけている僕がリーナの質問に答えを返す。
「アンデッド……?あの伝説上の?確かにあれは動く死体だったはずだけど……知性もなければ体も腐っていくんじゃなかったけ?」
「多分リーナの言っている伝説はうちの先祖が失敗して出来たただの出来損ない。だけど、僕のは違う。僕のはほぼ完成形に近い……言わば特別製。まぁ、その特殊性故、五年足らずでガタが来て壊れちゃうんだけど」
「なるほど……じゃあ、今アークが組んでいる魔法はリーナにガタが来ないようにする魔法ってわけね」
「そういうことになるね……まぁ、正確に言うと僕が不死者になるためのものなんだけど」
「……?」
「僕の魔法の流れとしてはこう。まず、死者を用意する。そして、そいつをアンデッドとして生き返らせる。ここまでが今、僕がやったことだね」
「えぇ。そうね」
「次に今度は発動者の命をアンデッドに与え、そしてその代わりにアンデッドから死のエネルギーを回収する」
「え!?命を与える!?そ、それじゃあ……」
「落ち着け。まだ最後がある。アンデッドから死のエネルギーを回収し、命を失った発動者は自己にアンデッド化の魔法をかける。自分の死のエネルギーと他人の死のエネルギーが混ざり合うことでこの世界にバグを生じさせ、発動者は世界の理から逸脱。寿命で死ぬことも、外傷で死ぬことも、ガタが来ることもない完璧な不死者に発動者は至ることが出来る……これが僕の魔法の概要だよ」
「え?ちょっと待って。つまりは他人を生き返らせ、そして自分は不死者になるってこと……?チートじゃない」
「そうだよ?だからこそ、一千万人くらいの魂を集めてそれをエネルギーにしないとまともに発動しないんだよ」
「な、なるほどね……リーナを生き返らせ、自分が不死者となるために一千万人の死体を積み上げるってことね」
「そういうこと」
僕はロキの言葉に頷く。
「一千万人もの魂を使う魔法だからその準備にかかる時間も途方も無いんだよねぇ……魔法の準備段階だけでどれくらい時間かかるかなぁ……うぅん。考えたくもない」
既に戦争は始まっている……あまり時間をかけてはいられない。
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