第1話
この世界の片隅に。
ひっそりと建てられた屋敷へと戻ってきた僕は屋敷の住人たる少女に迎えられる。
「私と別れた後に作った女に会ってきてどうだった?」
かつて僕の婚約者として人間社会に潜んでいたマリーナの正体……魔王ロキは僕を見てニヤニヤと笑いながら口を開く。
「ロキの言ったどおりの結果だよ。この世界の人間を僕の思うがままに動かそうと思ったら苦労するだろうね」
「魔族も、だよ。私だって幹部を爆増させて、幹部の質を弱くし、そのクソ弱い幹部を重要な局面に配置することくらいしか出来なかったよ……それでも動かせない子もいるし」
「……なんで君は魔族を負けさせようとしているんだよ。
「アークもあの糸から開放されたんでしょ?私だってあの糸の強制力から脱したの……あの糸の思い通りに動くなんて私は絶対に嫌」
「ハッ。わからねぇな。僕は僕のしたいように生きる。糸が僕の幸せを作り出すならその上で踊るさ……まぁ、そんなにうまく現実は行かないけどね」
「そう……ほんと、現実は上手く行かないよねぇ」
「全くだ……なんで僕を殺そうとした女が僕の帰りを待っているんだ。意味がわからない」
「でも、魔族の敵どころか、人類の敵にさえなった君の隣に居て、味方になったのは私だけでしょ?」
僕がリーナ嬢を殺し……そして、そんな彼女を僕が復活させるため。
死霊之王を名乗ったその日……僕の隣に立っていたのはロキであった。
「いつ寝首をかかれるか僕はビクビクしながら寝ているよ」
「そう?にしし、でも安心して?君が目標を達成するまで……いや、達成した後も私は一緒にいるからね?」
「目標、ね。僕の目標を応援するとかイカれているんじゃない?お前」
死者蘇生。
父上が生贄の数が足りず、不完成のまま発動させた魔法を、僕は完全な形で発動させる……僕のために。
「僕は人類災厄の虐殺者になろう。目標人数は人類と魔族合わせて1000万人……ふふふ。なんとも簡単な人数じゃないか」
「にしし……かつて、天才と持て囃された君が人類の天災になる。なんとも面白い話だと思わない?」
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