第33話

 リーナ嬢率いる騎馬隊が大地を駆け抜ける。

 魔族の隊列を、防衛戦を尽く突破し、向けられる大量の魔法にも目もくれず、走り抜ける。

 

 前線への命令は司令部より魔法を使って飛ばされる。

 リーナ嬢率いる騎馬隊が司令部を叩き潰せば、指揮系統が壊滅して敵は総崩れとなるだろう。

 

 指揮系統が壊滅し、右往左往する魔族の兵士たち。

 騎馬隊が開けた前線の穴から浸透していった重装歩兵大隊がそんな彼らを次々と倒していく。


「……あそこ、かな?」


 そんな様子をはるか上空から眺めていた僕は時空間魔法より巨大な鉄の塊を超電磁砲の要領で打ち込んでいく……味方が苦戦している戦域へと。


「ハァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」


 キルレートで言えば空を支配し、地面へと大規模な攻撃を撃ち込む僕が一番高い。

 そんな僕を当然魔族たちが許しておくわけがない……僕めがけて空を飛ぶことが出来る魔族が迫ってくる。


「邪魔」

 

 僕は自分の元に向かってくるすべての魔族の体を切断し、すべてを地面へと落としていく。

 僕の使う時空間魔法のレベルも年々上昇している。

 かつては魔法をズラすの精一杯だった魔法も、今では魔法への抵抗力が低い相手の体を切断することくらい容易かった。


「ふんふんふーん」

 

 僕は大暴れしている自軍を見ながら援護射撃を続けた。

 

 ■■■■■

 

 反攻作戦開始から三時間。

 上空より観察していた僕は小さな弾丸を飛ばし、逃走する魔族の兵士の頭を撃ち抜く。

 ……これで最後、かな?

 僕の見える範囲で生き残っている敵兵の数は誰も居なくなった。


『全軍に通達。ここの戦域における敵兵の全滅を確認。生存者はゼロ。完全なる勝利である。これより我々は前進……この先にある敵の総司令部を叩き潰す』

 

 僕とリーナ嬢がこの場に陣取った理由。

 それはこの戦線を打ち破ればそこまで直で総司令部へと行ける。

 すべての戦線を統括している総司令部が機能停止となれば、人類がかなり有利となるだろう。


『僕が先導する故、僕の命に従うように。それでは第五歩兵部隊前進。第六部隊は再三陣形へと移行──────』

 

 僕はすべての部隊へと命令を下し、その命令に従って部隊が行動を開始した。

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