第34話
快進撃を続ける我らが軍勢。
総司令部まで向かう道中、奇襲にあったり、待ち伏せにあったりなどしたが、それらを尽く粉砕。
僕とリーナ嬢率いる軍勢は敵の総司令部へと攻撃を仕掛けることに成功していた。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「クソッ!なんで全ての罠を叩き潰せるんだよッ!?」
「上は何を考えているんだ……あの二人の怪物を放置しておくなど!」
「すまぬ……」
「あっ、いえ!ゴーダ様に申しているわけではございませんよ!」
僕たちの軍勢が総司令部で大暴れしている中、別のところに総司令部を移すためか、遠くの人に声を届くのが得意な兵士や地図などの大事な道具を抱えた兵士……そして彼らを護衛するための屈強な兵士が総司令部から逃げ出していた。
「逃しませんよ?」
「リーナ嬢からはともかく、空から見ている僕から逃げられるわけなくない?」
そんな彼らの前に僕とリーナ嬢
「クッ!?ここは我に任せよッ!」
この集団の中で最も強そうな魔族の男が後ろの兵士たちを庇うように僕たちの前に立つ。
「ふん」
僕はそんな彼を無視して腕を一振り。
「カハッ!?」
「グッ……」
「ぁぁぁあああああ」
時空間魔法が発動し、男の後ろにいる兵士を全員殺す。
「これで総司令部は壊滅かな?」
遠くへと声を届かせる魔法を得意とする兵士は倒れたし、地図などを初めとした重要な道具、書類はすべて僕が時空間魔法で回収した。
これで総司令部を総司令部たらしめる大事なものは全てなくなった……再建するのにそれなりの時間がかかるだろう。
「馬鹿、な……」
あっさりと壊滅した兵士たちを前に魔族の男は呆然と声を漏らす。
「……この人は殺さないんですか?」
「殺すよ?でも、僕の時空間魔法の切断じゃ殺せないかな。魔法抵抗力が高い」
「魔法抵抗力……?」
「あぁ、ごめん。僕のオリジナルの言葉だから気にしないで。まぁ、僕の時空間魔法じゃ殺せない、ってこと。殴り合いで殺さないと行けない相手だよ。目の前の男は」
「なるほど。そういうことですか」
僕の言葉にリーナ嬢が頷く。
「……くくく。やはり、魔王様の言う通りお主は規格外であるな。これで、戦況の何もかもが変わった。我々魔族は敗走するだろう……だが、ただでは終わらん」
魔族の男。
三メートルほどの大きな体に紫色の肌を持ち、頭から長い二本の角が伸びる男。
「魔王様に仕えし四天王が一人、悪魔公ゴーダ。魔王様に貴様らの首を捧げよう。貴様らさえ殺せれば、その犠牲にも目を瞑れよう」
四天王である魔族、悪魔公ゴーダが槍を構え、僕たちに向かってそう言い放った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます