第30話
人類と魔族の戦端が開かれてから早いことで一ヶ月。
前線は一切動かず、戦局も安定。
長らく特にすることがないような状態が続いていた。
「暇やなぁ」
「でしたら私とイチャコラすれば良いと思います」
「……端から見たら十分していると思うよ?」
僕とリーナ嬢は狭いベッドの上に隣り合って座り、自分たちの目の前に置かれているパズルをこなしていた。
「なんかやっていることが作業感あって嫌です」
僕たちがやっているパズルはピース数の多い無地パズル。
難易度は高く、難しいはずであるが、僕たちは何の苦労もすることなく、お互いで確認し合うこともなく順調に進められていた。
もうすぐで完成する。
「作業感あるって……僕らがやれば大体作業化するでしょ。何なら良いの?」
「……」
僕の言葉にリーナ嬢が沈黙する。
「じゃ、じゃんけん……?」
「馬鹿なの?」
長い長い沈黙の末に出てきたリーナ嬢の案に僕の口から思わず罵倒の声が漏れてしまう。
「しょ、しょうがないじゃないですか……ッ!私は十数年も片思いをこじらせているんですよ!?恋人らしいことなんてわかりませんよ!私をこんなんにしたことに対してアーク様は責任を取るべきですッ!」
「……なんで?」
「アーク様がカッコいいのが悪いんですッ!」
「いや、意味がわからないよ……?っと、これで完成」
僕は最後の1ピースを嵌め、これでパズルは完成。
大きな無地のパズルが出来上がった。
「どうする?これに絵でも書く?」
「良いですね!私とアーク様のイチャラブを遺憾なくこの二人の愛の結晶へと描ききりましょう!」
「特に苦労もなしに作ったこれが愛の結晶……?ん。でも、まぁ良いよ。一緒に書こうか」
「はい!そうしましょう!」
僕とリーナ嬢はサクッと魔法で絵が書けるようにし、絵を書いていく。
戦局が安定し、特に僕が動く必要がなくなって暇になった時間。
僕はリーナ嬢と楽しく二人で様々なことをして楽しんでいたのだった……そして、ちゃんとリーナ嬢に落とされつつあると自覚する僕であった。
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