第29話
「伝令ッ!第三部隊が敵魔導大隊と接敵し、半壊ッ!至急応援をッ!!!」
「つい先程ほど移動させた第六騎馬中隊を向けさせて。予め決めておいたところで反転攻勢に出るように」
「ハッ!!!」
「第二騎兵大隊が敵歩兵を壊滅ッ!追撃の許可を求めております!」
「却下だ。深い追いは絶対にしないように。前線は動かさない。あくまで敵に出血させるのを主目的だから」
「ハッ!」
「第四歩兵大隊より伝令。食料が不足しているようです」
「了解。リーナ。兵站の維持は任せて良い?」
「大丈夫ですよ。既にうちの部隊を動かしています」
「ありがたい……そろそろ偵察に出していたうちの部隊が帰ってくる頃合いだ。報告の後にこれからどうするかの作戦を建てよう」
「はい。そうですね」
「それまではひとまずこちらかの行動はなしだな。このまま前線を守り抜こう。みんなもそのつもりで」
「「「ハッ!!!」」」
「伝令ッ!敵幹部を捕捉ッ!」
「了解。場所は?僕が行く」
「ハッ!第五歩兵大隊が構える陣地だそうです」
「了解」
僕はふらっと前線基地を飛び出し、伝令のあった場所まで飛び、幹部を撃破。
「……ついでに掃除を、いや。今じゃないな」
魔王軍の幹部と言えども僕の敵じゃない。
サクッと撃退した僕は前線基地の方に戻り、再び椅子へと座る。
僕とリーナ嬢率いる人類の軍勢と魔族の軍勢が本格的にぶつかり合ってから一ヶ月。
一騎当千どころか一騎当万くらいある僕とリーナ嬢という手札を見せず、この前線を持ちこたえ続けていた。
「……ふぅー。思ったよりも敵の幹部が出てきますね」
「そうだね……もしかしたら僕がここにいることもバレているかも。まぁ、でもリーナ嬢はバレてないかな」
「大規模反攻作戦に向けて私たちは牙を隠す……戦果を上げるための作戦とは言え、本来助けられるはずの人たちの命を見捨てるのは、少々堪えますね」
「良いか悪いかは別として、いずれ慣れるさ」
「……そうですか」
僕とリーナ嬢はそんな事を話しながら、自分たちの用意した軍勢を使って魔族たちと戦い続けた……ちなみに僕とリーナ嬢が個人的に用意した軍隊の数は帝国が用意した総戦力である一万を遥かに超える。
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