第28話

 人類と魔族。

 それらがぶつかる広大な最前線……の少し奥にある前線基地で。


「……なんで僕とお前が同じ場所なんだ」

 

 なんか僕と同じ配置となっていたリーナ嬢へと視線を送る。


「権力によるゴリ押しです……アーク様がどこに配属されるかは知っていましたので」


「リーナ嬢の情報収集力どうなっているの?僕がどこにいるかは一応隠していたんだけど……情報統制とか結構完璧だと思っているんだけど……どんな手駒使っているの?」


「手駒なんて使ってないですよ。私が自ら動いているのです。私とアーク様はいずれ結婚するんです。もはや一心同体と言っても良いです。私があなたの近くにいることは当たり前のことです」


「何をしているの?君は……え?マジ?僕を尾行してんの?僕ってばそれに気付けてないの?嘘でしょ?」


「本当です」


 ……。

 …………。

 ぼ、僕ってば暗殺されたい放題だってこと、なの?リーナ嬢がやる気ならいつでも殺されて、た?

 き、気をつけよ、一応時空間魔法やらなんやら使って己の身を守ってはいるけど、全然足りないような気がしてきたわ。


「ここは反攻作戦の際、最も重要になる土地です。ここに公爵家の当主が二人いてもそこまで不思議ではありません」


「まぁ、そうだけどね。それがわかっているのか、相手方の敵の数も多いし……」


「そうですね。正直に言って思ったよりも多くてびっくりしてます……私たち二人居ても勝てるかどうか……」


「あっ。そこは安心して。ちゃんと勝つから」

 

 戦争という分野で我が家に敵う者は居ないだろう。

 世界中で戦争を引き起こし、色々な戦術を試し、傭兵として数多くの戦争に従事してきたような兵士が僕の軍勢にはたくさんいる。

 持っている経験値の数が違う。

 

 敵の数は向こうのほうが上だが、質は圧倒的にこちらのほうが上だ。

 それに、魔王であるロキは僕に対して温情でも与えているのか、どうも敵の指揮系統がめちゃくちゃで明らかに精鋭じゃない。

 ただ数しかないような相手であった。


「そうですが。まぁ、私としてはどちらでも良いんですけど。ふふふ……ここが陥落し、二人で死ぬことになったとしても私たちは永遠に一緒です」


 ……ちょっと愛が重くない?

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