第27話

 帝王会議二日目

 公爵家当主が二人も代替わりし、リーナ嬢が僕へと婚約を迫るという波乱の展開だった初日とは違い、二日目は何の問題もなくスムーズに進行していた。


「結局問題は兵糧にあるかと思われます。農業大臣である私の立場から述べさせてもらうと、今年は豊作であり、余剰分も問題なくございます。しかし、それらを運搬するための足がございません。馬が不足しておるのです。1万もの兵士を支えるとなると、最低でもあと馬が数十と欲しいところです」


「財務大臣として発言させてもらいます。大規模な軍隊を動員させるだけでもかなりの出費をせねばなりません。


「なるほどね。国庫に足りぬならば僕が出すよ。色々な商会との伝手もあるしね。馬を百近くほど用意しよう。北方に住まう最強の騎馬民族たちの使う頑強で有名な北方産のだよ?」

 

「むむ。北方産の軍馬であれば騎馬隊用の馬にしたいな」


「いや、あれらを戦闘で扱うのは難しいらしいからね。兵站として利用するのが良いと思うな」


「む。そうか……残念だが諦めるしかないな……私だけでいいから用意出来ないだろうか?」


「スーシアなら問題ないと思うよ。百頭にプラスしてスーシアの分の馬も用意しておこう」


「ありがたい」


「ラインハルト公爵閣下のご配慮感謝致します。これならば一万の軍勢の兵站を半年ほど支えることが可能であると農業大臣より断言させてもらいます」


「そうか。それならばよかった……じゃあ、次は我々がどこに戦線を引くか、だね。先程の議題で一万の派兵が現実的となったけど、戦線を引く場所によっては人の数を変える必要も出てくるだろう」


「そうですね……」

 

 帝王会議。

 公爵家当主である僕たち三人に各種大臣たちが話し合い、魔族たちをどう対処するか、それを決める会議が進んでいく……。

 その議論は朝から始まり……その日の夜まで続くことになる。

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