第24話

 僕たち三人の発言の力は大きく、スーシアの行動を皇帝陛下は容認せざるを得なかった。

 カラサラとその補佐官たちは全員退場させられた。

 彼らは後に裁判を受け、そのまま裁かれることになるだろう。

 カラサラの座には暫定的にスーシアがつくことに全会一致で賛成した。


「ちょっとばかし長くなってしまったが、これで僕の用件は終わりだね」

 

 僕は一連の流れの最後

 これで僕たち三人が公爵家当主の座についた。


「それでは、議論に入ってもよろしいでしょうか?」

 

 僕の言葉を聞いた帝王会議を主導する議会長が確認の言葉を口にする。


「あぁ。構わぬ」


「いえ、私からも一件良いでしょうか?」


「えぇ。構いません。発言を許可します」


「それでは、私はアークとの婚約を検討しています。公爵家同士の婚姻……認めてくださいますか?」


「……は?」

 

 僕は予想外のリーナ嬢の言葉に思わず口を開ける。

 

「私は認めよう。友人の婚姻だ。実にめでたい」


 そして、僕の反応が遅れている間にスーシアが口を開き、それを認めてしまう。

 公爵家当主二人の婚約をもう一人の公爵家当主が認める……それすなわち実際に決定したと言える。

 すべての貴族たちの腹の底はどうであれ、僕とリーナ嬢の婚約を認め、お祝いするムードが流れ始める。

 


「しばし待たれよ」

 

 

 だが、その発言に待ったを入れたのは皇帝陛下であった。


「公爵家同士の婚姻を余は認めぬ。それが伝統故に」

 

 皇帝陛下の言葉は簡潔にして、その影響力も大きい。その一言は一瞬にして、お祝いムードを破壊した。

 たとえ、公爵家三人の前では皇帝陛下であっても屈するしかないとしても。


「皇帝陛下の言うとおりだね。リーナ嬢」

  

 公爵家最大の力を持つラインハルト公爵家と皇帝陛下が反対する……4つの極大権力が2つに別れる……であるならば物事を決定するのは他の貴族家たちである。


「婚約は本人の意思を尊重するべきだと私は思う」


「そうだな」


 公爵家二人の婚約。

 それを好ましく思っていた人はほとんど居なかったのだろう。

 帝王会議内では既に僕とリーナ嬢の婚約を却下する雰囲気が流れていた。


「汝らの伝統を思う気持ち、余は嬉しく思う。リーナには悪いが、その婚約は認めぬ」


 帝王会議内で決まったことは絶対。

 僕とリーナ嬢の婚約の話は一旦流れた。


「今日は色々とあった。二人も公爵家の当主が変わったのだ。今日の会議はこれで終わろう」


「僕もそれを指示するよ」


「……私も、支持します」


「私も異論はないな」


 初日の帝王会議。

 それは二人の公爵家当主が変わるという大きなイベントの後、終わった。


「むぅ……!」

 

 ……リーナ嬢は僕のことをふくれ面で見つめていた。

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