第22話

 ベルコー二公爵領の最悪の事件。

 その被害者たちがなんでベルコー二公爵家の屋敷から出てくるのから、困惑していた。


「私は当初。我が家は平民へと手にかけるほど落ちぶれていないと信じていた……しかし、その信頼は裏切られた。私の父は、兄は、弟は、姉は、妹は、最悪の犯罪行為へと手を染めていたのだ。我が領で起きた未だ未解決の大量虐殺事件の犯人は我が家であったのだ」


 そんな中、淡々とスーシアが話の顛末を語っていく。


「彼ら、彼女らは私の家の人間の欲望のはけ口とされていたのだ」


 その言葉は民衆たちにとってあまりにも衝撃的過ぎた。

 信頼していた自分の領主が最悪の事件の首謀者だったというのだ。

 その怒りは想像を絶する。

 民衆の憤怒の声が天にまで届くかと錯覚するほどに、大きく。


「私は許せない……ッ!愛すべきあなたたちを殺した家族ッ!私は家族を愛している。しかし、それ以上にあなたたちを愛しているッ!あなたたちを平然と傷つける者たちを私は許さないッ!」

 

 民衆たちの憤怒の声を聞きながら……その中でも響く声をスーシアは天へと届ける。



「故にッ!私は決意するッ!諸悪の根源たる父をッ!当主を打ちッ!私がベルコー二公爵家の領主になることをッ!!!」

 

 

 スーシアは宣言する。己が当主となることを。


「私はこれより父上を……いや、逆賊を打つため帝都へと進軍する。私が公爵家の当主になるのに反対する者が居たら私を殺すと良い」

 

 スーシアはそう言い放ち、屋敷の門を開け、ゆっくりと民衆たちの方へと進んでいく。

 すべての民衆たちは道を開け、万雷の拍手と喝采を浴びせる。

 三人の公爵家当主が、動き始めていた。

 

 ■■■■■

 

 スーシアと兵士が居なくなった後、拘束されたまま屋敷の中へ取り残されたベルコー二公爵家の人間がどうなったか。

 それは語るまでもないだろう。

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