第20話
帝都で久方ぶりの帝王議会が開かれていた一方で。
ベルコー二公爵領では一騒動起きていた。
「な、なんだなんだ?」
「確か当主様は既にご出発してたはずだよな?」
「公爵家に何があったんだ?」
「なんで公爵家の屋敷が襲撃されているんだ……?」
ベルコー二公爵家の屋敷。
そこから戦いの音が響き渡っている。
「諸君!正義は我らにあるッ!腐りきった我が家を変えんと努力する君は英雄に他ならない!悪は滅び、正義は必ず勝つッ!!!」
元々ベルコー二公爵家の人間であるスーシアに率いられた兵士たちがベルコー二公爵家の屋敷を襲撃していた。
スーシアが率いる兵力は300を超える。
ベルコー二公爵家の守っている50名の兵士の約6倍の兵数で今回の襲撃に及んでいる。
「ハァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
気合一閃。
兵士たちの前に立ち、大剣を振り回すスーシアが次々と敵兵を血祭りへと上げていく。
戦況は当然スーシア側の有利であった。
「スーシア閣下ッ!外周の制圧完了致しました」
返り血を浴び、その体を赤く染め上げるスーシアへと報告する兵士が一人。
「うむ。了解した。残すは屋敷の中か」
そこまで敵の数がいるわけではない。
ベルコー二公爵家の屋敷を守る人間は既に屋敷の中にこもっている人間だけとなった。
「ハッ。そうなります」
「ふぅむ。このままずっと包囲し続ければ確実だが……そこまでの時間は我らにない。壊せ」
「ハッ……は?」
歴史あるベルコー二公爵家の屋敷。
それを破壊しろという命令に思わず聞きかえす。
「これより、悪きベルコー二公爵家は変わり、私が頂点に立つ。ついでに屋敷も変えれば良いだろう。次期当主たる私が命ず。壊せ」
「は、ハッ!」
スーシアの言葉に頷き、兵士たちはその命令を忠実に遂行していく。
「さて……早く私の兄弟、姉妹を捕らえていくとしますか」
壊されていくベルコー二公爵家の屋敷を見ながらスーシアが野生味のある笑顔を浮かべ、肩に担いでいた大剣を地面へと振り下ろした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます