第14話
「ど、ど、ど、どういうこと、ですか……?」
何を言っているのかわからないと言ったげなスーシアに対して僕とリーナ嬢が優しく教えてあげる。
「僕は三帝公爵家が一つ、ラインハルト公爵家当主」
「私は三帝公爵家が一つ、ラヴァニア公爵家次期当主筆頭候補」
「「共に自力で立場を簒奪した者なり!」」
僕はすべてを罠に嵌め、自分にとって有利な状況を作り出して、公爵家当主となった。
どうやったのかは知らんが、リーナ嬢もいつの間にか次期当主筆頭候補の座に収まっていた。
貴族間の噂ではかなりリーナ嬢がえぐい方法を使って上へとのし上がったことになっていた。
次女が次期公爵家当主となるなど、普通のことではなれないだろう。
「君の友達は二人とも己の実力で公爵家の当主へとなれる人なんだ」
「そんな私たちのバックアップを受ければスーシアだって当主になれると思いますよ」
「というか、僕たち二人が協力して出来ないことなんてまずないよね」
「えぇ」
「……そ、そんなの信用が出来るはずが。なんで私なんかのために……どうせ、貴族の連中は……ッ!」
「現状。人類社会は魔族による襲撃を受けている。そんな中で、僕たち公爵家がいがみ合っているような状態よりも協力関係を樹立できるような環境であった方が良い。その点、僕たち三人は友達関係を構築しているわけだし、それが出来るでしょ?僕たちとしてもベルコーニ公爵家の当主の座にスーシアがついてくれた方が楽なんだよ。これは僕たちにとっても利点のある話になっている」
「私たちはあなたに対して敵意を持っていたりしない……騙していた身で言うのもなんですが、私たちはスーシアのことをちゃんと友達だと思っているのです。信じては、くれませんか?」
「友達に騙された気になって一緒に公爵家当主の座を簒奪するか……いずれ来る奴隷になるという運命を受け入れるか。どっちがいい?」
僕とリーナ嬢によって差し伸べされる手。
「……」
それを前に沈黙し、黙り続けるスーシア。
「ふふふ……ふはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!」
そして、彼女は大きな笑い声をあげる。
「そうだなッ!あのクソ野郎どもに一泡吹かせることが出来るのであればその提案、乗ろうじゃないかッ!スーシア・フォン・ベルコーニは今ここに誓おう!私がいずれ、当主の座につくことを!」
先ほどまで貴族である僕とリーナ嬢に恐怖を抱いていた彼女はどこへやら。
スーシアは野性味のある笑みを浮かべ、僕とリーナ嬢を前にそう宣言してみせた。
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