第13話
「それで?なんで公爵家を追放されたんだ?家から追放されるってよっぽどだよ?」
公爵家から子供が追放される……かなり珍しい事例と言えるだろう。
少なくともラインハルト公爵家の歴史には追放処分を受けた子供は存在しない。うちの家は案外子供を大事にするのだ。
「……家の、陰謀に巻き込まれたんですよ」
「ベルコーニ公爵家の?」
「はい。そうです」
「ふーん。あそこか……ベルコーニ公爵家に関しては僕が混沌竜を倒した際に手柄を横取りされた!っていちゃもんつけられたんだよなぁ」
暑苦しくて傲慢。
それが僕のベルコーニ公爵家の評価であり、あまりいいイメージはない。
「ん……?」
ここで僕は思い出す。
かつて、僕が初めてベルコーニ公爵家へと赴いたときに粘着し、ずっと勝負を挑んできた女の子がいたことを思い出す。
「もしかして、昔僕に何度も挑んできた?」
「あぁ、はい。そうです」
僕の言葉にスーシアが頷く。
「あの時のね!……へぇー、随分と変わったんだね」
「ははは……色々とありましたからね」
僕の言葉に対してスーシアが自嘲的な笑みを浮かべる。
「本当に、大したことじゃないんです。誰が領主になるか……その政戦に巻き込まれ、追放。そのまま平民落ちして、今じゃ奴隷落ちの危機。笑えますよね」
「なるほどね……」
「これはあれですね。決まりですね」
「うん。そうだね」
僕は隣に立っているリーナ嬢の呟いた言葉に同意する。
「な、なんですか?」
「「ふふふ」」
困惑するスーシアを前に僕とリーナ嬢は笑みを浮かべ、そして口を開く。
「なぁに。ちょっとばかりスーシアを」
「次期公爵家当主に据えるだけですよ?」
「え?」
なんでもないことのように言った僕とリーナ嬢の言葉。
それに対してスーシアは呆然と口を開く。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええええ!!!」
そして、彼女は大きな声を上げた。
スーシアの大きな声は、防音性の高いこの部屋の壁に吸われ、この部屋にだけ響き渡った。
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