第10話

 スーシアが受けていなくて、僕とエレトリアが受けている授業が終わった後。

 僕とエレトリアはスーシアと合流しようと彼女を探していた。

 

「うーん。スーシアはどこだろ?」


「……いつもいる場所にいないなんて妙ね」

 

 普段スーシアがいる場所に僕とエレトリアは向かったのだが、そこにスーシアの姿はなく、僕たちは途方に暮れてしまっていた。


「……んー。どこにいるんやろうか?」


「……そうねぇ」

 

 僕はエレトリアにバレないよう、魔法をこっそりと使いながらスーシアを探していく。

 ……こっちかな。

 僕はエレトリアにバレないように細心の注意を払いながらちょっとずつ誘導しながらスーシアのいる場所へと向かっていく。


「ただの平民風情がッ!あまり調子に乗っているんじゃないぞ!」


「すみません、すみません、すみません!」

 

 人が来ることの少ない学園の中庭。

 そこで入学前、マリアへと絡んでいた男、リュークが取り巻きたち引き連れてスーシアへと絡んでいた。

 ……またお前か。僕はこの時点で己が平民と偽ってこれから学園生活を送ることを諦める。

 どうせ、この時勢だ。

 いずれ貴族の子供たちを安心させるために本来の姿で学園に来てほしいと学園長に泣きつかれることだろうし。


「何をしているッ!」

 

 僕は一切の躊躇なく声を荒らげながら割って入り、スーシアの前に立つ。

 エレトリアも一切リュークに臆することなく僕の隣に立ち、彼を睨みつけてくる。


「……ァ?なんだぁ?ただの平民が伯爵家である俺様に歯向かうのか!?少し強いからって調子に乗りやがってッ!!!お前らを一族まとめて


「やれるものなら」


「やってみなさい」


 僕とエレトリアは一切動じることなく、堂々と言い放す。


「……な、舐めるのもいい加減にしろッ!?お、俺様を……俺様を何だと……ッ!!!」


「逆に問おう。汝こそ我を誰だと思っている」

 

 僕は一切の躊躇なく、変装を解き、ラインハルト公爵家であることを示す紋章入りのペンダントを見せつける。

 その隣でエレトリアも何やらゴソゴソしていた。


「ラインハルト公爵家当主、アーク・フォン・ラインハルト」


「ラヴァニア公爵家が次女、リーナ・フォン・ラヴァニア」

 

 僕ことアーク、エレトリアことリーナは互いの本当の身分を明かす。


「えぇぇぇぇぇぇええええええええええええええええええええええ!?」


「そ、そんな……馬鹿、な」

 

 スーシアの驚愕の声と呆然とした様子のリュークとその取り巻きたち。

 ……え?

 り、リーナ……???

 僕はエレトリアの思わぬ正体を前に驚愕する。


「言ったよな?二度はないと」

 

 だが、僕は諸々の疑問をすべて飲み込み、堂々と言い放った。

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