第2話
多かった仕事を一段落させることの出来た深夜。
「ふいー」
僕は自室のベッドに腰を下ろし、一息つく。
「お、お、お疲れさまです……」
ラインハルト公爵邸にまで連れてきたマリアが僕を労い、コーヒーを淹れてくれる。
「ありがと……別にいつものように僕には敬語じゃなくて良いんだよ?」
「いえ……そ、その……今のアーク様は本物の公爵様なので」
今の僕は公爵家当主として働いているのだから当然変装なんてしていない。
普段、寝るにまで平民モードに変装している僕と一緒に過ごしているマリアは
それにしてもだけど……。
「マリアってばなんか緊張していない?」
「ふぇ!?そ、そ、そ、そうですか?」
「……そんなあからさまに動揺してどうしたの?」
「え、えっと……その、他のメイドの方々から私、アーク様の愛人だと思われているようでその……ちょっと顔を合わせづらく」
「あ、あー。そういうこと……」
確かに、言われてみれば。
傍から見たらどう考えてもマリアは僕の友達ポジじゃなくて、愛人ポジだよな。
自陣営に引き入れ、領地にまで連れ帰ってきているのだから。
……僕は既にマリーナと決別し、ロキと戦うことを決心したのだ。
「ふふふ……本当にしちゃう?愛人らしいこと」
一歩、前に出るべきだろう。
その相手がマリアであるのならば……最高じゃないか。
「ふえ!?」
僕の言葉を受け、マリアが更に顔を赤く染め、動揺をあらわにする。
そして。
「その……よろしくお願いします」
マリアはか細い声でそう告げ、僕の隣へとゆっくり腰を下ろす。
「ふふふ……いただきます」
僕はそんなマリアを前に余裕綽々と言ったような様子を見せ、彼女のことをやんわりと押し倒す。
どうやら、僕の夜はまだ終わらなそうだった。
ちなみに僕もマリアも初めてだった……僕が初めてだったのは仕方ないよね?マリーナが居たときはまだ精通もしていなかった頃だし。
■■■■■
「うぅ……この執事長。アーク様に使えて十数年……ようやく卒業されましたかぁ!感激ですぞぉ!アーク様ぁ!」
「あわわ……アーク様。初めてなのに積極的!」
「流石王の中の王……」
「おー。過激や、過激」
「あの子が……ここまで成長して……見ておられますか!」
「お、弟の諸事を聞くのも中々……うん。こう、来るな。かなり興奮する……あんなに小さかったアークがずっこんばっこん……私もまだなのに。き、気持ちいいのかな?」
ちなみに二人の情事は隣の部屋で必死に聞き耳を立てる他の面々にバッチリと聞かれていた。
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