第23話
武学の授業でスーシアが無様を晒した次の日。
「な、何の用でしょうか……?」
僕は公爵家当主、アーク・フォン・ラインハルトとして学園に赴き。
「いや、君がちょっとだけ面白そうだったから」
昨日すれ違った特別な力を持っているように感じた少年の元へとやってきていた。
僕の前にいる少年。
真っ赤な髪に真っ赤な瞳を持った爽やかなイケメン……こうして再び対面すればわかる。
この少年からは何か特別な力があると……そう確信できる。
「お、お、お、面白そうですか?」
「うん。そう……面白そう」
僕は困惑している少年の言葉に頷く。
「僕はアーク・フォン・ラインハルト。一応公爵家の当主として働かせてもらっているよ。それで?君の名前は?」
「え?し、知らな……いえ、自分の名前はリュート・フォン・レイブンクロー。レイブンクロー伯爵家の嫡男にございます」
「そう。よろしくね」
僕はリュートの方へと手を差し伸べる。
「よろしくお願いします」
そんな僕の手をリュートがおずおずと手に取り、握手を交わす。
「リュ、リュートになにするつもりですか!?」
僕なりに少年に対して友好的に接したつもりなのだが、それでも公爵家当主としての僕は他者から最大限警戒される相手なのだろう。
リュートの隣にいた少女に僕は睨みつけられる。
「別に何もしないとも……ごめんね?君の彼氏を怖がらせるようなことをして」
僕に対して声を上げることが出来た勇気ある少女に僕は声をかける。
リュートと同じ真っ赤な髪に真っ赤な瞳を持ったきれいな少女……この少女からは特別な力を感じない。
「ふぁ!?……そ、その……別に私が彼女とか……そんな……」
僕の言葉を聞いて少女が真っ赤に顔を染めながらしどろもどろになりながら言葉を話し、ちらちらとリュートの方に視線を向ける。
「そうだよ。俺とこいつが恋人関係なんてありえないよ」
そんな少女に対してリュートはヘラヘラを笑いながらそんなことを告げる。
……おい、鈍感系主人公。隣の少女からものすっごい視線を向けられているぞ。
「……君も、大変だね。君の名前は?」
「えっ。あ、私はリンリー・フォン・フューリタン。フューリタン辺境伯の娘です」
「おー。あのフューリタン辺境伯の娘さんか。あの人には僕も以前お世話になったよ」
「い、いえ。父がお世話になりました」
「そのセリフは僕の何だけどね……。これからよろくしね。リンリー」
「はい。よろしくおねがいします」
僕とリンリーも互いに握手を交わした。
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