第22話
「うぁー。流石に勝てなかったわ」
結局。
僕の前に立ったイケメン侯爵家くんに敗北した僕は苦笑しながら端っこで縮こまっていたスーシアの元へと戻る。
僕とイケメン侯爵家くんのスペックの違いはかなり大きい。
僕がこれまた縛っている技術面でカバーしようと、結構頑張ったのだが基礎スペックの差があまりにも大きすぎた。
肉体スペックの9割9分を出さないように縛って戦うとかやはりちょっと無理があった。
それに加えて、こっちは魔法使えないのに向こうは自由に魔法を使えるの意味がわからない。あんなん絶対に無理や。
いや、勝手に魔法使わない縛りしているのは僕だけどね。
「……やっぱり裏切られてたぁ」
スーシアは僕のことをジト目で見つめてくる。
「何?一回で負けたクソ雑魚平民ちゃん」
「私が普通なのぉ。平民が何回も勝てる方がおかしいの。あなたも最初からここまで残っているし、エレトリアに至っては圧倒的な力で完封しているし」
三人いる平民の中でスーシアはあっさりと負け、僕も負けてしまった。
その中でエレトリアだけは未だに勝ち続けていた。
確実に縛りプレイしている僕よりも強く、今も貴族を相手に割と楽に勝利していた。
「流石は平民。やはり平民であれば貴族に勝てないとね!」
「……何か?実は私がおかしいのか?平民は貴族よりも強いのか?私だけがおかしいのか?」
圧倒的な強さを持っている僕とエレトリアを前にスーシアは自信を消失し、不貞腐れてしまった。
「ちょっとだけ意外な結果になったが……みんなの実力を大体把握出来た。この模擬戦で悔しい思いをした子も多くいるだろう。これからも良く励み、上位を目指すように。以上!」
こうしてスーシアの自信を打ち砕いた武学の最初の授業は死者を出すことなく平和に終わった。
……いや、元よりスーシアに自信なんてあったのだろうか?絶対にないでしょ。
ちなみにエレトリアは最後まで勝ち続けていた……あの子、マジで何者なのだろうか?
めちゃくちゃ強くない?
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