第19話
昼食後。
「あぁ……最悪。とうとう来てしまった……武道の時間が」
今日、美味しい昼食を食べた後に行われる授業が武学、魔導武学となっている。
確実に実技が絡み、出来ない子を晒し上げる悪夢のような授業であるその二つは明確に平民である自分たちが貴族たちよりも劣っていると全員の前で証明する授業であるため、
「……ちなみに二人はどれほどの自信が?」
「僕はてんで」
「私も同じく」
「……これっぽちも信用できない。どうせまた私は裏切られる。もうわかっている。そんな結末になることが火を見るよりも明らか」
「この信用の無さ」
「どうしてこうなったのかわからないわ」
「実に」
「嘆かわしい」
「待って?急に抜群のコンビネーション発揮しないで?」
当然圧倒的なコンビネーションを発揮した僕を前にスーシアはツッコミを入れる。
「「なんか出来た」」
「なんかって何?一心同体なの?」
僕とエレトリアの発言に関してスーシアは心底呆れたようにツッコミを入れる。
天才たる僕の技能があればなんとかエレトリアが言葉を合わせたいなぁー、と思っていることを察することなど簡単である。
あっさりと僕に合わせてきたエレトリアにも普通に驚いたけど。
「まぁ、どうせ受けた以上やらなきゃいけないんだし、前を向いてやるしかない」
「……そうなんだけどさぁ。少しくらい愚痴ってもいいじゃん?」
「多分少しじゃ止まらんよね?川の氾濫の如く来るよね?」
「絶対に行くわ」
「遅刻しそうだから急いでいこうか」
「……わかったわ」
「それじゃあ、元気に行きましょう!みんな!私についてきて!」
エレトリアは突然元気よく立ち上がり、仕切りだす。
「「なんでお前が仕切ってんの?」」
そんなエレトリアに対して僕とスーシアは声を揃って突っ込んだ。
「ほら、早く行かないと遅れるわよ?」
「……そうだね」
「……そうね」
僕とスーシアは急に仕切りだしたエレトリアの後に続いて武学と魔法武学の授業が行われる訓練場の方へと向かって歩き出した。
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