第18話
ただの平民である僕たち三人が受ける授業は実に似通っている。
最終的に僕が受けることにした学問は軍事学、地政学、農学、騎士道学、武学、魔法武学の6コマ。
エレトリアは僕と同じこの6コマで、スーシアは僕とエレトリアの受ける農学を受けない代わりに奉仕学を受けている。
僕は知らなかったが、受けられる授業は6コマまでだった。
「んぁー、授業のレベルが高いぃ……いやぁ」
既に四つの授業を受けたお昼。
昼食の時間にスーシアはうなだれ、学園のレベルの高さに潰れた様子を見せる。
「お疲れ」
マリアと共に作ったお弁当をおいしくいただいている僕はそんなスーシアに慰めの言葉を適当に投げかける。
「そうね」
僕の言葉に同じくお弁当を食べているエレトリアも頷く。
「……うぅ。なんかお二人とも余裕綽々じゃない?なんでぇ?」
「別に苦労するところなかった」
「そうね」
受けた授業。
やはり帝国が誇る学園なだけあり、授業の質は非常に高く、僕の知らないような専門的な知識を教えてくれた。
一限の授業である地政学は元々僕が地政学を少しだけかじっていたために知っているような内容だったが、それでも先の授業になっていけばためになるような知識を僕にもたらしてくれるだろう。
ちなみに僕は天才なので授業は楽勝だった。
ついでに授業を一緒に受けたエレトリアも楽勝そうだった。
「二人とも怪物じゃん……おかしいよ!なんで私だけぇ」
「わからないことがあったら僕が教えてあげるから安心してよ……奉仕学以外なら」
「そうね。私だって教えてあげられるわよ。奉仕学以外」
「なんで二人とも奉仕学以外なの……平民がまず受けるべき授業は奉仕学でしょ。というか、奉仕学でしょ!?」
「いや……僕は誰かに奉仕活動したりしないし……」
「私も……」
「なんで!?奉仕学受けないとか平民じゃないよ!?何?裏組織の人間なの?」
「まぁ、当たらずといえども遠からず?」
「ひぇ!?」
「私はごく普通の平民だよ?」
「エレトリアが普通を名乗るのはおかしくない?どう考えてもスペックが普通のそれじゃないんだけど」
「国が違うわ」
「なるほど……」
この世界には色々な制度の国がある。
他国の人間であれば平民でありながら優秀な人間がいてもおかしくないだろう……まぁ、エレトリアが他国の重鎮であればなんで彼女が特別扱いされていないのかと疑問に思うところなんだが。
「ふぇぇ。私と同じだと思っていた平民が二人おかしいよぉ」
何をどう考えてもおかしい同じ平民二人を前にスーシアが不満げに声を漏らした。
「……アルトは本当に裏組織の?」
「あっ。当たらずといえども遠からずだから。ちょっと浸っているような気もする程度。まぁ、普通に違うと言えるかなぁ」
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