第14話
入学式。
一切何事もなく厳かに式は進んでいく。
伝説にもなっている長命種たるエルフの校長先生の話、第二皇女である生徒会長の話、僕が辞退したために第三皇子による新入生代表の話。
ぶっちゃけ退屈で、何の面白みもない入学式は僕があくびを噛み殺している間に終わった。
「んぅー」
入学式が終わり、ワイワイガヤガヤとしだしてきた
この学園ではクラスというものが存在しない。学園から指定された数以上の受けたい授業を勝手に受ける方式となっている。
僕は前世、高校生で死んじゃったから大学が実際にどんなところかは知らないが、単位数なんてものがあるし、この学園は小中高よりも大学に近いシステムだと思われる。
「……帰るか」
僕は椅子から立ち上がり、出口の方へと向かおうとする。
「アーク様。受ける授業は既に決まっていますか?」
僕は帰りたいのだが、リーナ嬢に話しかけられてしまい、動きを止めざるを得ない。
「いえ、まだ未定ですね。帝王学など、次期公爵家当主が将来のために取っている授業などを受けても良いですが、既に僕は公爵家当主として働いている身。今から学ぶ必要があるのかという疑問もありますし、薬草学のようなあまり僕に関わりのない授業を受けるのも楽しそうだなと思っているところです」
「なるほど……確かにアーク様であれば帝王学などは必要なさそうですものね。まだ受ける授業が決まっていないのでしたらどうでしょう。これからどんな授業が行われているのか、共に見学していきませんか?」
笑顔で告げられるリーナ嬢の提案。
……僕は早く帰りたいのだ。そんな提案になど乗っていられるか!
というか、受ける授業は既に決まっているし。リーナ嬢に告げることなんて出来ないけど。
「すみません。公爵家当主としての仕事がまだ残っていますので。今日はここら辺で失礼しますね」
「あぁ、そうですか。お仕事頑張ってください」
「はい。ありがとうございます」
僕はさらりと嘘を吐き、リーナ嬢と別れて学園を後にした。
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