第5話
魔導帝国テュフォンで最も栄える都市、帝都エクスカリバー。
「帝都に来るのは久しぶりだなぁ」
そんな帝都へと僕はやってきていた。
公爵家当主という身分で帝都を彷徨くには無理があるので、変装しながら一般市民として街に紛れていた。
「やっぱ、生徒の数が多いな」
帝都を歩く人たちを見てみると、僕が着ている制服と同じものを着ている人たちが圧倒的に多い。
貴族の子供を収容する学園、ユリウス帝国学園。
王家の子供から騎士爵の息子までには収まらず、優秀な平民や他国からの留学生も受け入れ、一年生の人数が300人を超え、修学期間が計6年。
一年生から六年生の人数が合計で2000人近いというありえないほどの人数を誇る学園である。
当然そんな学園のある帝都には制服を着た生徒が多く、制服を着た男爵や騎士爵、平民の子供が多く帝都を徘徊している。
恐らく僕もそこらの男爵の子供程度に見られていることだろう。
「んっ。これ美味しいな」
僕は屋台で買った串焼きに舌鼓を打ちながら街を歩く。
「やめてくださいッ!」
久しぶりに完全オフモードでくつろいでいた僕のもとに女性の大きな声が聞こえてくる。
「んっ……?」
声がした方に視線を向けると、そこには制服を着た人たちが。
制服を着た女の子の前でニヤニヤと意地悪そうな笑みを浮かべて立っている数人の男たち。
「おいおい……俺たちのことを拒否できるくらい権力を回復させたんかねぇ?」
「あはは!そんなわけないじゃないですかッ!リュークさん!」
The・良くない貴族と言えるような男たちに絡まれている少女の表情は暗く、少しだけ泣きそうになっている。
そんな光景を見ている周りの民衆たちは自分たちに火の粉が降りかかるようなことがないようかなりの距離を取っている。
その様子からあの女性に絡んでいる男たちがそこそこの立場であることが察せられる。
「んー。話しかけるか。水戸黄門ごっこもちょっと面白そうだ」
僕は串焼きを片手に少女たちの方へと向かっていった。
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